君はとっくに知っていたね。
この国がやがて破滅に向かうことを。
多くの兵士は万歳を叫びながら消えて行った。
たとえ自分は消えてもこの国の勝利は疑わなかった。
君は違った。
君だけはこの国の滅亡を正確に予測していた。
そして君はそれを知りながら敵地に向かった。
時は流れた。
滅んだところに新しい国が誕生した。
かつて砲弾と炎に覆われたこの地は、今は花と緑に彩られている。
その静寂の背後には、無数の声なき声が響いている。
他国の定めた掟によって平和が実現された。
一切の武力を放棄し、過去の過ちを戒めることが求められた。
君はたしかに現在にも生きている。
おそらく何千万の兵士たちとともに。
しかしあまりに時は流れすぎた。
君の中で燃え盛っていた炎が今は消えかかっている。
傷跡が癒えぬうちに、新たな傷口を開こうとする声が聞こえる。
その声に耳を傾ける者は多い。
しかし希望は残されている。
生まれ変わった国で再び君の炎を取り戻すべきときは来た。
前略、けいと様
先の戦争では、大本営が戦況の偽情報を流布し、国民を欺き続けたのは周知の事実です。
現代においては、SNSで発信される個々人の多様な情報が国民の不安を煽ると危惧されます。
新しい戦前と言われる今、核保有国が世界の覇権を得るために、代理戦争を続ける惨状は毎日のようにテレビの画面に映し出されています。
為政者が利権を貪る結果、多くの市民が犠牲となる今日を招かないために、私たちにできることは何でしょう。今日、79回目の終戦の日に。
非常に含蓄のある引用ありがとうございます。
「何度でも騙される」のを阻止するためにできることはしたいですね。
けいとさん、こんにちは。
「炎」は平和の比喩かなぁと思うと、「君」の切なくも強い想いに
胸が締め付けられます。