底浅き
世界との疵
黒く塗る少年は 海を
赤く塗る少女は、
何処へ
恰幅の良い警告へ寄せる包帯
致死は
屍毒へと胚胎、
椰子の所在を寄せ返す
錆びた薔薇の音
希望を買う
罪科と等しく
希望を買う、
復も延ばされた、永続の非在は
もはや跡形も残さず
骨と、錆びて
矩形聳える
都会
墓群には
距てられた方途が、染まる、夕には
銃刀法の徒花、
ごろつきどもへの
燃え尽きた愛の賛歌は、どこへ
核の冬、
約束された、
約束をした
どちらが先、かはしれず
(間歇泉、塩粒の戯れ)
愛を購う
銭貨のため追われるひともあり、
そぼ降る霙、
金盞花
冬薔薇の切り揃へられて
日は新し、
斯く迄も簡単に
戦時下に
戦禍に興じ
矜持なき狂気を、享受し
状況は既に、あをぞらを淀ましめつつ
自由と平等、
畢竟両立を得ぬ、
無辜の正しきはつまびらかにも証明されて
淀み過ぎたる瓦礫、疵の束に
さらばこそ水は純粋に
腐敗の兆を
指摘し、
孤独に澄み亙る、青年期をつねあやまてる、孤立群衆へ
死ぬな、我々は手を命綱とし
その声を、結束として
一人余さず生き、生きて、そして、死ね、
絶望の窯底に兆をさがし
竟には斃れて行く、その者たちに、
一滴、蝋梅の蜜を残して