薄刃の夜(よ)に藤は散る。
狂える鳥居の向こうに永久(とこしへ)が眠りゆく。
「糸切り鋏が紡ぐよう、傀儡が回るよう、
うなされる夜の夢は誰にも分かれしまへんよってに」
お歯黒の笑みを残し、巫女は消えた。
あゝ、我が背(せ)よ。
生皮剥がされた我らはけだものでおまっしゃろうか。
おゝ、帝国の遠き星よ。見てはりくださりませ。
人の過ちにより、甘う腐りゆくが如く遂に西空の黄昏は潰えます。
息も耐えだえに、真(まこと)が燃やされ溶けていく。
この世すべては我らが敵(かたき)。
愛おしみの心は、流した涙は……血よりも濃い。
怨みも憎しみも枯れ果て、聖(ひじり)に至った空蝉(うつせみ)。
「春は死ぬによい折節(をりふし)。わいと心中いたしまひょう」
鏡向こうの星影は清(さや)か。
麗しの常世で巡り会うことを誓い、
痛まぬようにと、せめてもの慈しみをかけん。
さいなら、さいなら……。
今生(こんじょう)の暇乞(いとまご)い。
勾玉双つは嬰児(みどりご)の如く砕かれた。
天地(あめつち)滴る岩座(いはくら)に八咫鴉(やたがらす)立ち、乱るる神風を示す。
豊葦(とよあし)は黄金色(こがねいろ)にざわめくばかり。
松嶋さん、初めまして。 YUMENOKENZIと言います。 よろしくお願いします!
なんと流麗な文体なんでしょうか! 落語の噺のような...、松嶋さん、きっと全部誦じていらっしゃるでしょう?!
文字を見ると、漢字が多くて... わああって思ってしまいますが、これをじっと拝聴すれば、面白いんだろうな ...なんて笑
落語は、アニメ『昭和元禄落語心中』を見て知って、めっちゃ魅了されました!
ゆめの