私が私について語っている時に
兄が遠い県からやってきて
市民会館の職員と結婚した
つう、と言えば、かあ、なのに
兄は我が子の名前を
考えるのに夢中で、最後は
おまえに任せる、兄、つう
ラクダがいいよ、私、かあ
(私は世界ラクダ図鑑を眺めていた)
私の甥だか姪だかの名前は
ラクダになった
兄の家族は職員住宅に住んだ
ラクダが十八歳になったので
お祝いを包んで
兄のマンションに行った
(三人は職員住宅を引っ越していた)
鯨偶蹄目ラクダ科の方のラクダが
出てきたらどうしよう、
と思ったけれど
ラクダは女の子だったと
この時、初めて知った
私が私についての続きを
語っている時に
ラクダが遊びにきて
結婚が近いことを告げた
(ラクダは数年前に大学を卒業し経理の仕事をしていた)
この名前結構気に入ってるんだ、と
干し草を反芻しながら
ラクダは言った
たけだたもつさんへ 私たち人間の、現実の暮らしの、ある幸せなシーンを切り取ったような内容でありながら、見えて来る絵は、あ、人間じゃないんだって... 思ううちに惹き込まれてしまう不思議な物語りでした! アニメに『約束のネバーランド』っていうのがあって、それが思い出されました。(余談です) 笑 私は、動物のことは詳しくなく、「鯨偶蹄目」という言葉もわからず、調べて初めて知って ... もう新鮮な驚きでいっぱいです!
"私"と家族、親族の、平穏で、幸せな物語は... それは人間たちだけのものでなく、地球に存在する、すべての生き物たちのものでもあるのかと思い知らされました。
作品、とても楽しいです! が、、、 まだまだ読めてない私のために、少し解説を入れていただけると嬉しいです。
ゆめの