12月5日午前9時30分
秋葉原で僕を乗せた夜行バスは
定刻より20分遅れで
広島駅前に着いた。
曇り空の肌寒い広島の地に
僕は初めて足を踏んだ。
友人知人親戚がいる訳ではなく
西武ライオンズファンの僕は
今も手紙で付き合って下さる
小4の時の担任の先生が
当時 授業中や授業の合間に
原爆投下直後の広島の話を
目を覆いたくなる写真を交えてしてくれたのを
今も鮮明に覚えていて
でも
(広島は大変だったんだなぁ)と
思うだけだった。
先生とのやり取りを続け
50歳を過ぎた頃から
(広島に行ってみたい‼︎)と
強く思うようになったが
バタバタしていた日常生活に
広島は北海道よりも
遠い町に感じ
(いつかきっと…)
テンションは下がっていった。
そして…
(今無理してでも行かなかったら
きっと行けなくなる‼︎)と
急に思い始め
職場で休み変更をして貰い
夜行バスの予約をした。
行き慣れた大阪や神戸とは
勝手が違い
バスから降りた僕は
駅構内の案内所に行き
原爆ドームへの行き方を
教えて貰った。
地元の人に愛され
走り続ける広電に乗り
「原爆ドーム前」駅に降り立つと
写真で見た原爆ドームが
静かに出迎えてくれ
微かな風に
落ち葉がまるで歌っているように
聴こえた。
原爆ドームを1周し
無意識のうちに手を合わす。
平和記念公園を歩き
水を求めて飛び込み
沢山の人が亡くなった
大田川に手を合わせ
アメリカのオバマ大統領が
歴代の大統領として
初めて広島に来て祈り
被爆された方や遺族の方と
抱擁した原爆死没者慰霊碑に
周囲の沢山の方と同じように
深く頭を下げ
手を合わせた。
(ここなんだ‼︎
ここにオバマ大統領が立ち
祈ったんだなぁ‼︎)
目が熱くなった。
やっと
広島に来たんだ‼︎
広島に…
ヒロシマに…
HIROSHIMAに…
どれほど年月がかかっても、"いつかきっと" と、あなたは自分と交わした約束を果たされた! 小4とは... まだ9歳、10歳の頃に、原爆投下直後の広島の話を先生に伝えてもらったんですね。
あなたを動かした、先生の真剣な眼差しと、強く優しい声を感じています。 踏み出したワンステップ、走り出したバス、そうして詩の最終連に刻んだ、 "広島に…
ヒロシマに…
HIROSHIMAに…" が、自分の胸の奥深くで響きました。