詞書:国葬さる者 若草に降りて霜なす朝露の死にそびるに足る国家を終ぞしらざる 詞書:棄民なる者 ひとりしなば 壜攪拌子に混じりたる一線の疵に軋み廻る統計学室 詞書:群衆の断絶 惜しといへ封殺を受くる群衆の今幾多ものアウシュビッツより 詞書:国粋と宗教 売国と何をか瞋る救済も寵愛も見捨てらる癲癇の遺児を庇はず 詞書:原発、再稼働へ 紛ふなく血を絶たる鉄道線路にて去年はあらざるものとなりぬ 分裂炉 詞書:鳩と橄欖 触るるな死を密葬の部屋を橄欖をゆきかへる鳩のあはひを一つ歴史は