あの人は化け物です。常にハキハキと喋り周りを笑かしている。
あの人は化け物です。口角は下がること無く背筋は天に引っ張られ続けている。
ある日誰かが「気味が悪い」とあの人に言いました。私にはこの人も化け物に見えました。
その場はしんとして誰一人言葉を発しませんでした。擁護も、同調も、非難も、憤怒もありません。
ちょっと気まずくなり「言い過ぎでないの」と発してみたら、あの人がこちらをちらと見、その場から出ていきました。あの人は終始、化け物でありました。
気にかかりあの人を追いかけました。あの人は、泣いていました。人間のように、それでもどこか化け物じみた静かな涙です。「君が泣かしたんだよ。」あの人は天に見放された背で、コロンと言いました。ただ顔は、笑っていました。柔い日射しのような顔に私も涙が込み上げて来て、「それは、悪いことだったかしら?」と答えながら、そっと、あの人に寄り添いました。
化けの皮が剥がれたあの人は、血が流れているだけの歪な人形でした。
ゆめのさん、コメントありがとうございます!
人に傷つけられるのも救われるのもほんの一瞬の言葉だったりすることが残酷なようで気楽なようにも感じる事が多々あります。
化け物にも化け物なりの考えがあるんだろうなと、一瞬の寄り添いが少しでも相手の安らぎになったら良いなと思います。
さくさんへ
みんなと違って見える人は、いつの間にか化け物というレッテルを貼られ、ある日、誰かのささいな一言で、その存在が抹殺されてしまうような、まさに人間社会の歪みともいえる "いじめ" のシステムを見たような気がしたのは、私もまた、自分自身が、化け物だからかもしれません。
化け物が、ジブリ作品のカオナシのようなイメージだとしたら、寄り添う "私" は、明るく、朗らかな千尋みたいな感じなのでしょうか 笑顔
傷付けられ、泣かされ、血を流して姿を消していった化け物の、この世界の唯一の救いは、 "私" が最後まで味方であったこと、言葉を発してくれたこと、追いかけてくれたこと、寄り添い共に泣いてくれたこと。 優しいあなたが、この世界にいたから、この詩が生まれた! 息を吹き返せる人がいた、これからもいる!
ファンタジー仕立てな、切なくて、素敵な詩でした! YUMENOKENZI
如月 朔様
あなたの詩を拝読させていただきました。
ロバート・デ・ニーロが演じました
「フランケンシュタイン」を思い浮かべました。
誰もが個性的な、ただの人なのですね。