羽虫が死んでいた
そこそこ大きな羽虫が
ガラスの向こうで腹を見せていた
図々しくも美術品の傍で
誰かに気づいて欲しそうに
静かな静かな赤い部屋
僅かに聞こえるプレリュード
それを繋ぐものはいない
夜の星が見えてくる
どうやら今日も終わりらしい
苦痛の日々も輝ける一瞬も
皆平等に幕を下ろす
いつか終わりが来るならば
どうして僕らは生きるのでしょう
それが未だにわからずに
揺れる陽炎誰の影
今日も僕は密かに歌う
死にゆく夕日への鎮魂歌を
静かな静かな暗い部屋
とうに止んだプレリュード
それを繋ぐものは僕だけ
繰り返される鎮魂歌の為に
今日の僕もしっかりと生ききろう
愛しい世界の片隅で
美しい朝日を拝めるように
昨夜に取り残された全ての為に
烏羽美空朗さん黄昏のレクイエムを読ませて貰いました。
羽虫の死を表現するリアルなピン・ポイントな描写から赤い部屋へ
部屋から夜空へとプレリュードの様に流れて行くけれど
語られれている事は、自分もが心の深い所で感じている疑問、
そうプレリュードから明日へと繋いでゆくのは、自分だけですものね!
今日と言う日が鎮魂歌で送られても美しい明日を迎えようと強く思えました。
昨夜に取り残してきた事が多いんですよね~。