台所のような場所は
だいたいいつも真っ暗にして
灯りをつけるのも憚られる
あなたの影を見たくないから
あなたのやさしさやみにくさを
分かち難いまま葬っておきたいから
食べなくても
飲まなくても
洗わなくてもいい
僕は部屋にいて
小さな灯りだけつけて勉強している
書物を読みながら
時々ところどころマーカーする
まるでそうして口を糊するかのよう
浮かび上がる大切そうな箇所
経営者も労働者も研究者も持ち合わせている
キーワード志向の一種だろう
半ばこの方法を蔑んでいる
出世したいわけではない
ただ勉強が好きなだけ
すると成功がついてきたが
成功は己を図太くするばかりだと思った
いつでも言えることがある
一生はずっと戦争だってこと
だから
あなたの悲しみに寄り添うことが
できなかった
あなたを大切にする時間を
つかまえることができなかった
依然としてキーワードに線を引いている僕
簡単で効率的な学習方法
或いは仕事術
でもそれは
「あなた」という科目を解決しない
あなたのどこにも線など引けるものか
あなたの名を呼んでも
すぐに消えるのだから
きっと非効率は悪いことではありませんよ。そこに人の気持ちが絡むなら特に。メールよりも電話、電話よりも会いに行くです。会いに行ったら、用件は忘れて、おしゃべりだけして帰る。不思議なものです。すべて良い方向に進むことがある。