僕は思っていた 「なんで僕ばかり」と
幸福そうな人を見てうらやんだり妬んだり
自分の境遇や身に降りかかる不幸を誰かのせいにしたり
「いつ死んでもいいや」なんて思うこともあった
そんなことを思っていると、ふわふわしたものがすり寄ってくる
尻尾を立てた君だ
そして僕の顔を不思議そうに(僕にはそう見える)覗き込んで「んん~?」とひとこと
「どうしたんだい?」と僕に問うように
僕はつい話しかける「なんで僕ばかり」と
君は言葉を持たないけれど、まばたきを何度かしてくれる
「人間は厄介だね、だからぼくは猫に生まれたんだ」
「君も猫になるかい?」
僕にはそう聞こえたような気がした
僕がまばたきを返すと、君はまた何度かまばたきをする
「人間にはぼくたちにはない知恵や言葉があって、いろんなことを考えたり伝えたりできるよね」
「でもね、それをぼくは羨ましいなんて思ったことはないんだ」
「だって、それは人を傷つけたり欺いたりできるからね」
そう言うと、君は僕の膝の上で丸まって気持ちよさそうに眠ってしまった「どうだい、羨ましいだろう?」とでも言うように
君の呼吸に合わせて小さく上下するふわふわの背中を見ていると、なんだか少しほっとしていた
ゴロゴロとバイクのエンジン音みたいな不思議な音を立てながら眠る君の顔は、とても幸せそうに見えた
「僕もそんな顔で眠れる日が来るかな?」と心の中で問いかけると
君は薄目を開けるだけでまた眠ってしまった
暖かいコメントありがとうございます。
猫と接することで心が浄化される気がしています。これからもそんな関係を大事にしたいですね。
猫に対しては羨む気持ちは小さく、
猫との対話の中で穏やかに内省する姿が浮かんできました。
猫との関係を大事にしてほしい、そんなことを思いました。
タイトルの「まばたき」は、アイコンタクトの事だったんですね。言葉を持たないからこそ伝わる気持ちは深い所で繋がってるんだなと感じさせられる作品でした。
猫になっても、まばたきで心を通わせる事が出来る人間に出会えるかな?ameさんが人間で良かったと猫ちゃんは、まばたきしてる様な気もしました。
詩を拝読させて頂きました。
作者と猫との会話がとても優しい雰囲気で伝わってきます。
そういえばameさんのプロフィールにとても愛くるしい目の可愛い猫ちゃんがいましたね。
詩の中に出てくる猫ちゃんでしょうか
「ゴロゴロとバイクのエンジン音みたいな不思議な音を立てながら眠る君の顔は、とても幸せそうに見えた」
猫が気持ちよさそうに喉を鳴らす表現「バイクのエンジン音見たい」という表現はまさに「言い得て妙」と言える素敵な表現だと思いました・
猫って甘え方も叱られた時うまく逃げる逃げ方もちゃんと心得ていて、その鳴き声や見つめてくる視線は人間と対話しているように感じ、つい「あのね…」と話しかけてしまいますね。
この詩からもそんな素敵な雰囲気が感じられました。
とても素敵な詩だと思いました。
こんばんは。
猫がお好きなんですね、私も猫を飼っています、その中でもクロエと言う愛猫が一番懐いていて、やはりまばたきでコミュニケーションを取ります。
猫には猫の苦しみもあるだろうし、人には人の悲しみがあります、互いの存在が心の助けや励ましになると感じています、言葉で意思疎通ができない分、相手を理解しようと努力することで優しさも持てるようになると感じています。