空から赤い炎の塊が落ちてきた。街は一瞬にしてこの世から消え去った。青い空の下で嘆きと呻きが支配していた。悪意の連鎖がもたらした悲劇だった。1週間後に帝国の降伏が発表された。帝国は他国の領土を侵撃していた。悪意は悪意によって報われた。はるかな時が流れた。その間に帝国ではなくなっていた。人々は自国内の悲劇を語り継いでいた。自国外の悲劇には耳をふさぎ続けた。彼らは再び悪意を抱き始めた。それを見下ろす空は青く澄んでいて、鳥たちは無邪気にさえづりつづける。
前略、けいと様
軍隊に入れば、3度のメシが腹いっぱい食えて、家族にも仕送りできる給金が貰える。
ただし、自分の命と引き換えに・・。
青い空が青く澄んだまま、若い人たちの人生に暗い影を落とさない世界になるよう、非力な老いぼれはただただ祈り続けます。
合掌
けいとさんへ
悪意と、悪魔の為せる業としか思えない悲劇の歴史を抱えた私たちができることは何か ....
どんなに世間が騒がしくて、もう必死で生きることしかできない自分でも、悪意の根本がなんであるのか、 "悪意の連鎖" を断ち切る手だてはないのか、を考え続けたい、諦めたくないと、この詩を読んで思いました。
澄んだ青空が、私たちを見下ろしてくれるように、鳥たちがそばで、無邪気に歌をうたってくれるように、悪意とは正反対の、この美しさが、どうかこれからも、自分に力をかしてくれますように!
今回も私の作品を読み込んでいただきありがとうございます。
悪意の連鎖に警戒するひとが一人でも増えたようなので良かったです。