目覚めた朝は無痛覚だ
「何も無い」が私の周りを浮かんでいる
朝ご飯の匂いにつられ君の元へ
一歩、一歩、進んでいく
一杯のコーヒーと焼けたパンにマーマレードのジャム
美味しそうだねと君に言えば焼いただけと零す、その苦笑いは何となくだろうか
何となくでも私は好きなんだ
指先に篭もる力が足りないね、
ジャムの蓋が開かない
瞬きするとそれは消えていて、カチャカチャと音を鳴らせば、はい、と小瓶を渡してくれた君がいた
「マーマレード好きだった?」
と疑問を口にすれば、君は眉を寄せて笑っていた。あなたのためだと、
灰に消えていた私を取り戻してくれる君
君がいてくれるだけで救われるんだ
ただ君は君であって
私が私で居られるように
狂想さん、はじめまして。
つらい状態にあったと想像される主人公と、それを支えてくれる君との
関係性に思わず目が潤みました。
些細なシーンに優しさ、温かさを深く感じました。