ここは夢の国の都市ではありません
夢の国を移植しようとも叶いません
ビル群に圧倒され
形見のせまい思いをしている
あの小売店を見てみなさいな
外観だけはお城のよう
二つの尖塔が愉快な角度で
湾曲しアニメらしさをかもさんとしています
しかし飾られたプラスチックの旗は
なびいた形を保ったまま微動だにせず
二次元的なリアリティどころか
そもそも三次元に存在するのには
異様すぎるのです
夢の国のキャラクターグッズ犇めく店内は
夢の国内にある土産屋とは
似て非なる別物です
張りぼてで固められたそれは
オリジナルへの憧れさえ
亡失させてしまう効力さえもつでしょう
私は城の失墜を企てているのではなく
城に同情しているのです
ファンタジーの混沌
この都市でけなげに生きる以上
たとえ叶わないとわかっていても
夢を追いかける振りをしていなければ
立場が無いんです
みなみさんはじめまして。
城の失墜ではなく同情という言葉遣いが非常に面白く感じました。
夢であったはずのものが、夢とは似て非なるものとして現実に置かれてしまったことへの、反感のような、それでいて自分に向けている言葉にも見える、少しの自虐のような何かも感じさせる詩でした。そしてプリンセスの目線から書きながら、最後の無いんです。という言葉遣いに、作者自身の心を感じました。
往昔
みなみさん、おはようございます。
インプレッション置きます!
これが本当の話でありながら、でもなにか冗談めかしてて ....
周囲と協調したいと思いながらも、「私」の魂の声は、ソレを拒絶する。
都市の因習に縛られ、詰んでしまった「私」こそが、この城の塔に幽閉された、真実の「名も無きプリンセス」なのかもしれない。
ああ私には、こちらは見事に切ないフィクションでした ....!
ゆめの
孤海さん こんばんは
「ファンタジーの混沌
この都市でけなげに生きる以上
たとえ叶わないとわかっていても
夢を追いかける振りをしていなければ
立場が無いんです」
作者の言いたい事がこの最後に凝縮されているようにおもいます。
郷に入っては郷に従えの言葉がこの詩から感じます。
それが滑稽な事であっても生きていく為には夢を追いかける振りも時には…。
そして振りという言葉の中に作者のいろいろな思いが感じられて切ない優しさを感じた詩でした。
寒くなりましたね。ご自愛くださいますように。