ある夜いっ匹のカエルと出会った
とくに運命だとか一目惚れだとか
そういう刺激も何も無かったが、
おれはそいつにピーくんと名付けた
おれをどう思ってるのかわからんな
粗相をすることもないな
寒いからエアコンを消せと
うるさく注文をつけてくることも無いじゃないか
まあおれも
おまえに慰めて欲しいなんて思ったことはないけどな
おまえの目を見りゃだいたいのことは
わかるんだ
おまえもそうだろう?
ピーくんをはなす時こう思ったな
ずるいぞ
おまえは今日から自由かよ
おれを置いてけぼって楽しいか
おまえのようにおれもピョンと田んぼに沈んでいきたい
まあでもおまえの選択は正しいよ
おれはおまえのことなど気にする暇はないのだ
おまえのエサだとか服だとか下の世話とか
そんなことは頭にないんだ
ただおまえを眺めるのが好きだったのさ
そこは鏡の国のようで、なにもかもが真っ逆さまだった
おれはおまえを気に入っていた
どうか今日より、おまえに幸多からんことを願ふ
そしていつか
日々、跳ねる田んぼの世界がぼんやりして
眠気がおまえを覆うその時、
開いたおれの両手にピョンと
跳び乗ってきておくれ
はじめまして UUXともうします。よろしくお願いいたします。
「おれはそいつにピーくんと名付けた」
「おまえに慰めて欲しいなんて思ったことはないけどな
おまえの目を見りゃだいたいのことは
わかるんだ
おまえもそうだろう?」
言葉が通じなくてもかえるに話かける作者の優しい目を感じます。
そしてかえるのピーくんとても可愛い名前ですね。
言葉は通じなくても語り掛ける作者の心の優しさを感じたとても素敵な詩だと思いました。
UUXの家にも毎年大きなガマガエルが姿を見せてくれるのでとても愛おしくそのガマガエルが姿を見せてくれた年は一年中笑顔で過ごせて、花鉢に水をやる時などそこから飛び出す事があり「突然水かけてごめんね」って言ったりしていました。そしてある時彼女を連れて姿を現した時は思わす「よかったね」声をかけてしまいました。
所がこの頃姿が見えなくてとても心配しています。
ピーくんも又作者の両手にピョンと跳び乗ってくれるといいですね。
多数の制約にしばられた人間は、ときとして生き物の自由さに惹かれるのかなと思いました。
良い作品だと思いました。
拘束・束縛されている時に見えていた自由は、拘束や束縛から解放された時から見えなくなると言っている人が居ます。
だとしたら、放たれたピーくんは自由以外の何が見えたのか、両手に帰って来たピーくんに聞いてみたい気がしました。
こんにちは。
この詩を読んで皆さんそれぞれに思うところがあると思います。
ある朝隣人がスコップを借りに来た、どうしたのか聞くと、今朝飼ってた犬が死んだから庭に穴を掘って埋めるのだと言う、私も穴掘りを手伝った、犬を埋める時に隣人はその犬の首輪を外して埋めようとしていたので、首輪を外すのかと聞くと天国では自由でいてほしいからという、私が天国でも家族の一員として過ごした証にせめて横に一緒に埋めてあげたらと言うと彼は犬の横に首輪を添えた。
その犬は野良の方が自由で楽しかったのか、飼い犬として家族に愛されて生きた方が幸せだったのか、ふとこの詩を読んでそんな出来事を思い出しました。
シシズルさん、はじめまして。
カエルと過ごす日々の中で感じてきたことを
照れ隠ししながら伝えているようなイメージが浮かんできました。