情感とは必ずしもゆるやかなものではないが
それは対象或いは内面が多段的であるためであろう
小さな まるで誘いのような安らぎから
荒ぶる まるで嵐のような感情に至るまで―
だがそこには 二重の等式と不等式があって
イコールと大小がプラスで結ばれるのだ
そのことを全生涯かけて探索・実感してゆくのが
哲学者や詩人の役割だとしても何ら不思議はない
何故なら 情感は哲学者を詩人にし 詩人を
紛れもなく哲学に向かわせるからだ この
等式に宇宙が加担しその確立に助成するならば
世界は瞬く間に沈黙し数多の完成へと導くであろう
それは作品ばかりではあるまい 個々人の
脳裏に展開される未完成の序曲として存するからだ
言葉は常にその発展を助ける イマジナリーな
本来空虚なものを決定的に明確にしてゆく
新しいものはいつもさり気ないものだ
例えば 毎朝の到来は遂に気取られるものではあるまい
しかしその地の温もりはきっと天と通信していて
鏡のようにお互いの本来を映し出しているのだ
武中さん
"情感" にまつわる非常にロジカルな詩ですね!
断定的な言葉遣いが、作者の思考を波のように重ねているように感じました。
その中でも、
「何故なら 情感は哲学者を詩人にし 詩人を
紛れもなく哲学に向かわせるからだ」のフレーズが、私の一番のお気に入りです!!
YUMENOKENZI