新鮮なリンゴがやがて腐ってしまうように
今という時間が朽ちて、新しい時間が動き始める
テーブルにリンゴの群れを並べることすなわち
過去、現在、未来を観察すること
どのリンゴが先に腐るのか?
どのリンゴが一番甘い?
触ることはできず
リンゴたちを観察することしかできない
ひとつひとつ名前を挙げていく
美しい子供がやがて年老いて死んでいくように
名前をつけて、腐って死んでいくのを見る
見なければならないのです
見なければならないのです
そして、彼らもまた見ている
誰しもが皆テーブルの上にあるリンゴであり
テーブルの上のリンゴを見ているのもあなた
いつ腐るかは誰にもわからない
眺めることしかできない可哀そうなリンゴたち
謎の甲殻類さん
りんご... ひらがなが、とても愛らしいタイトルですが、詩の中味は重いですね。 読み手によって感じ方が様々あろうかと思いますが、前作と今作にもある、何か共通の苦痛を感じます。
同時に、詩の言葉は、清新なリズムで真理を語りかけています。
りんごたちが、作者を含め、私たち人間の一生 (運命)の喩えならば、
ああ、そうなんだなと頷き、変えられない運命を受け入れるしかないのでしょうか...
人はみな死を免れませんが、しかし心は、腐らせないで死を迎えることができると、私は信じています。
りんごが好きで、たくさん買い過ぎて、食べ切れずに何個か腐らせてしまったことがあって、もったいないことした経験があるんです。 未来、観察しかできないりんごに出会ったら、私は、この詩を思い出そうと思う。 そうして、観察しかできないという掟を破って、その美味しいりんごを必ず齧って食べるんだ!
人の成長もそれぞれ皆どうなるかはわかりません。たくさんの人たちが生まれて生きている中でだれが輝くのかはお互いにわかりませんね。それは楽しみでもあります。しかし最終的には皆がこの世界から消えていくのはさみしいことだと思いますが、新しい世代が生まれてまた輝き始めることでしょう。この営みをずっと見ていることは誰もできないけど、ずっと見ているのも退屈かもしれませんよ。