ルビー色のぶどうのひと房の その向こうに白い雪が見えた 人並みはずれた色ではないが 透き通る様な紫色が雪の中で 私の目を釘付けにしていた 房から一粒もいで口に入れると 甘い渋みが口の中で絡み合って そして葡萄のルビーがはじけ 口の中に広がっていった 忘れられない思いでの味が… 白い天使が午後の陽に溶けて ルビー色の葡萄を包つみながら いまにも止まりそうにゆっくりと 過ぎていく時間の中で 淡い色を指に乗せ口に運んだ
おはようございます。
何とも叙情豊かな詩ですね、この五行三連の文字の中にある静かな時間、作者の考えを一言も語らず淡々と述べた情景の中で葡萄と雪と言う二つの季節の交わりが過ぎゆく時を感じさせます。
特に三連目の表現は秀逸だと感じました。