空は生乾きのままベタベタしていて
たまらず右目を閉じると
空が半分こになったので
なんだそういうことなのかと
何か解ったような気がした
右手には齧り付いた魚肉ソーセージ
左手にはタンスとソファーの間でさっきみつけた
よくわからない何かのネジ
もう何も持てそうにない俺は
仕方が無いので
右足でリモコンを 踏み付けて
テレビをつけたら
緊急速報
お笑い芸人の死を伝える
それが俺じゃなくてよかったと思ってしまいました
それがあなたじゃなくて本当によかったと思ってしまいました
同時には幸せにはなれ ないと宇多田ヒカルがうたっていたっけ
ならせめて俺に優しくしてくれた人や
俺を憎んでいる人や
俺とせっくすした人や
俺にさよならさえ云ってくれなかった人や
俺を途中で投げ出した人や
俺が途中で投げ出した人や
花小金井のアパートに泊めてくれた人や
俺に金貸してくれた人や
俺の詩集買ってくれた人や
俺の詩 褒めてくれた人や
俺の詩 つまんないって云ってくれた人や
それぐらいは
ちゃんと幸せになればいい
愛がないわけじゃないんだきっと
ただ愛し方が上手いか下手かそれだけだよ
誰だって幸せだけあればいいんだろ
誰が好きこのんで
不幸になんか
一人になんか
なるもんか
なぁ
そうだろ
爪と爪の間に入って擦ってもほじくっても
薬用石鹸ミュー ズでも
落ちないこの罪も俺の中に居座るしぶとい悪意も
都合で救ったり救わなかったり
してしまうその残酷さも
ここまできたらもうメダイのペンダントみたいな
お守りみたいなものだから
穴あけてそこに革ひも通して
首からブラブラぶら下げて
死ぬまで
ずっと肌身離さずに
初めから誰にも押し付けないで
そうしていたら
あなたに軽蔑されずにすんだのかな
何もいらないって嘘ばっか
両目閉じてもこの世界はなくならないよ
やったこともバレなかったことも
なかったことにはならないよ
全部に同意する四月の馬鹿
Sinさん、こんにちは。
読みごたえありますね! あなたの詩の魅力は、この体当たり感かっ!! 微笑 YUMENO