午前、ほんの少し
台風があった
鉛筆を削る時によくやるような
些細な手違いが続き
新しい橋の開通式は
関係者とその親戚とで
執り行われていた
濡れた草むらには
観覧車が乗り捨てられていて
既に家族連れや
靴を汚した人たちが並んでいる
けれど観覧車は何もしゃべらないから
何もしゃべらない人しか乗れない
幾種類の果物を口に運ぶように
俯いたまま眠れるような人が
好きだったことがある
結局、他の職業に就いて
体の中で終わっていくものも
それなりにあった
橋の向こうから
あまりよく知らない人が
手を振っている
観覧車、どうですか
声をかけたけれど
草むらのそれはもう
翅のある虫になっていて
空に飛び立つところだった
ゆめの様
はじめまして。コメントありがとうございます。特にテーマを決めることなく書きはじめたのですが、ゆめの様のコメントを読んで自分でも気がつかない何かを書いているのだ、と改めて思いました。今後ともよろしくお願いします。
たけだたもつさん、初めまして。 こんにちは! よろしくお願いします。 不思議な、深遠な世界観に惹き込まれました ...! 哀愁があって、これは、いのちの転生の物語り? なんだなって思いました! 面白かったです! ゆめの