ここから私の書物は始まります
根で目覚め 空気を新しく吸い
掌の中の小さな平野の温もりが
明日の到来を予告しているかのよう
川岸の桜は満開で 駅の噴水は
陽光に輝きながら鳩に潤いを与えている
遠くのビルディングの非常階段から
軽やかな真昼がやってこようとしている
雲や今日の太陽に縁どられた大空が
穏やかな 花のような両手を広げている
様々な感情が 今にも逃げ出そうとして
微笑みながら捉えられる明るい谺の震える街―
ドーナツショップで二杯目のコーヒーを―
窓の向こうを女学生が颯爽と自転車でゆく
帰りの各駅停車で少し眠った 駅に着いて
仰ぎ見ると近づいた夕暮れが西に陽を移していた
橋の上で―三日前に降った雨で増水した川面の
濁流に目をやる 茶褐色の渦が縺れて流れてゆく
家に帰って―キレイに乾いた洗濯物を取り込む
春の陽の温か味がじんわりと皮膚に伝わってゆく
武中さん
目覚めれば、また新鮮な一日が始まる ... 心が、体が、そう捉えて生きることができる。 人間にとって、これ以上幸せな人生があるでしょうか。
過ぎゆく一日の風景が、あなたという詩人の、心のフィルターを通せば、すべて平和と安寧の世界へと化してしまうのですから! 素敵な春の一日を届けてくださりありがとうございました 笑顔
YUMENOKENZI