みんなが描く詩のモチーフが胸に突き刺さらないのです
星とか 空とか 桜の花とか 汚れた靴とか
ただれた心とか あの街で抱えた葛藤だとか
醒めるような光だとか しずくが落ちる速度だとか
濁った関係から飛び立つ清々しさだの
痛みから感じる非日常だなんて
君は嘆いた
それはもう 詩なんじゃないの
詩を書く気が起きないのです
詩を書く人は一体いつ詩を書こうと思うんですか
急き立てるように 人の波は押し寄せるし
月は懸垂していたかと思うと 満面の笑みを浮かべる
身体は空白を埋めようと シグナルを常に絶やさない
形を変えたシュプレヒコールも続いてる
君が溜息をつく
僕は黙って微笑んだ
いつだって 詩を読む前に緊張してしまうんです
だって 詩は何かしら神聖な
立ち入ってはいけない 開かずの間のような
それでいて 出会ってもいない人から開かれた とても切実な
バベルの塔には言葉が通じない人が集まって
言葉が通じないままだったけど
異なることばでも 通じさせようとした人たちは多くいたはずで
君はつぶやいた
それも それはそれで 詩だと思う
小さい頃に知らない人のしおりを拾った
少し破れているけど 何か書き込んであって
多分大切なものだと思った
でもどうやって返せば 誰に返せばいいのか
わからなかった
君が遺した詩
あなたが、今こうして詩を書いているのは、これほどに心通わせいた友がいたから? 素敵な詩ですね! 特に第三連のくだりが好きです。
>言葉が通じないままだったけど
>異なることばでも 通じさせようとした人たちは多くいたはずで
>君はつぶやいた
>それも それはそれで 詩だと思う
そして、最終連までと、最終行を読み終えた時の余韻が、なんとも切なかったです。
YUMENO