モスグリーンの風
亜麻色の地面
落ちる 落ちる
水面に揺れる網目にとらわれた
羽
羽は、まだ青く
澄んでいて
そのままとんでいきそう
くるり くるり
舵のない船のように
回ったあと…
あの恐ろしい声が頭上を
乱す
鬱蒼とした空は青い水面を
濁す
網目模様が反転し
王冠のように逆立ちした水は
時々その姿を残虐なものでも見るかのような
視線を向けている
羽は、いずれ水に埋葬される
さも、悼み
水は静かにそれを飲み込む
水の中の無数の目がこちらを見ている
花弁のように
葬列者は、銀のあわぶくで
念仏を唱える
ぶく ぼこん
しゅ…こん
夢
夜
朝
粉泥が巻き上がる
沈殿した手が少しくすんでしまった羽に
伸びる 伸びる
優雅に
けれども
鈍く
どろどろに溶けて
所々にできた小さな
渦巻きと共に消えていくだろう
切り離された意識を辿って、その先っちょを引っ張ったとき、どこからともなく私は思い出すのだ。あれは、背中から伸びたいくつもの悲しみの羅列なのだと。私は伸びた手を振り払い、テレビ塔へ登る、上った先には、私を変化させるイベントが待っているんだ。そうして、私はサナギになった、巨大なサナギになって、地上を見下ろそうとする。しかし、動けない、サナギには目がないためだ。私は内側からギョロギョロとどろどろになった体を回して目を形成しようとする。私の体は、目は、手足は、そうして想像を膨らませているうちに準備は整った。私は跳ぶのだ!巨大なちょうになるのだ!
そうして、投げたサイコロは振り出しに戻る。
⬆
「私は跳ぶのだ!巨大なちょうになるのだ]
「そうして、投げたサイコロは振り出しに戻る。」
抜粋させて頂きました所とその下に別書きされた文字を拝読させて頂き、生命体(動物、植物、地球etc)の輪転を感じました。
それはでどこかで繰り返されている諸々…この詩から色々想像させられる神秘的でもあり読者に興味を引かせるような不思議な雰囲気のある詩だと思いました。
羽日さん、はじめまして。
最後の一文に、もどかしい悲しさを感じました。
羽日さんへ。
はじめまして。
美しい羽が落ちて水が飲み込んでいく、自分の一部が生々しく食われていく悲しみが伝わってきました。
私達は廻りから逃れることはできませんがきっと美しく生きる姿を彼らが見届けているのですね。