極彩色の金魚は 容易く網の目から抜け出し 人いきれの中に紛れ込む 怖いわ、わたし怖いわ、という おまえの手を引いて 夜と光が交じりあう通りを行く
肉の焦げる匂いと 酔いどれの千鳥足 怖いわ、わたし怖いのよ 神妙な眉尻に薄紅の頬 おまえのお面に手を掛けたら それはいとも簡単に崩れ落ちた 声に似た笛の音が耳を劈く 誘われるままに取引をした 代わりに手にしたものは どれも甘ったるくて胸の内が焼ける 飴を纏った果物を かりりと噛めば おまえはまた違う顔 おれの顔は今どんなだ? 互いのお面をはがしあう遊びが 終わることはない 鉦が鳴って鳴って鳴って 上りながらおれたちは下り続ける
これは、大人のおつきあいの詩ですね。たくさんのお面の持っている大人でも、いつかは生の顔になるものです。問題はそれまで遊びが続くかどうかなのでしょう。
細川利回さん、こんばんは。
二人の様子にある不穏な空気感が、
日常の中にふくまれている異質さのように感じました。
面白いですね。
かとうさちこさん、コメントいただきありがとうございます。 「不穏」が大好きなのです。面白い、と言っていただき嬉しいです。