『かたつむりの女の子』
私、学校には行けないし、友だちもいないし、みんながやってるようにできないし、イヤなことがあるとね、背中の殻に入っちゃうの。
そうするとね、お母さんがいつも
「どうして、そんなことばかりしてるの」って怒るんだ。
私、どこか変なのかなって思ったりすると、頭の中がグルグル回っちゃって、何がなんだかわからなくなっちゃって、ごはんも食べたくなくなっちゃって、だから背中の殻から出られなくなっちゃうの。
でも、私、他のみんなと同じようにするのって、なんだか変だなって思ってる。
自分が自分でないように思えて、知らないうちに涙があふれてきて、止まらないの。
私、ひとりぼっちなんだなって・・。
学校の先生やお母さんは困った顔してる、なんでなんだろう・・
私がみんなの言うこと素直に聞かないからかな・・
宿題やろうとしないからかな・・学校に行かないからかな・・
ないしょの話なんだけど、私、背中の殻に自分が「これ、いいな」って
見つけたものをかくしてるの。
学校のドリルの正解とはぜんぜんちがう私だけの正解があるんだ。
それってね、キラキラ光ってるような、何か話しかけてくるような、
考えなくても勝手に体が動いちゃったり、覚えようとしなくても覚えてるみたいな、へんてこな力があるんだよね。
そういうもの、もっとさがそうと思って、お母さんにはだまって家を出てきたの。そしたら、雨になっちゃった。
ずいぶん遠くまで来ちゃったなあ・・
もう夕方なのに・・なんだか、おなかもすいちゃった・・
アジサイの葉っぱの下で雨宿りしようよ、雨の音を聞きながら、ね。
眠くなっても、背中の殻に入ったら、いい夢が見れるもん。
かたつむりの女の子、読んでいて
発想が面白くて楽しかったです。
私だけの正解に合わせて生きる。
それに合わせて動くとキラキラするような感覚は分かるなと共感しました。
良いなって思ったものを詰め込む。子供の頃に宝箱に自分だけの宝物を入れて眺めては楽しんでいたのを思い出せました。
懐かしい記憶を思い出すような
作品を読ませてくださり
ありがとうございます。