恋都(物語編)
東京に住む旧友K代からリモートで飲み会をしないかと誘いを受けた。休みの前日なら良いよと返事をすると、親友のS未から時間早めから始めようかとラインが来た。
「おいおい、何でアンタから返事が来るんだよ~」と返信すると「K代から雪影を誘ったって聞いたから、あたしらの飲み会を断るはずが無いと思って日時を決めとくと返事をしといた。」2度目のオイオイを心で言いながら「急ぎの仕事が入っていて休憩MAX取れないから仕事終わりに話そう」と返信した。
「雪影も好きだよね、酒」S未の言葉に?の顔をしていると「だから飲み会の話し酒を飲みながらするかって話し」イヤイヤと手をふりながら「仕事終わりに話そうの返事に、この店でって言ってきたのはアンタだからね!」と女子力が限りなくゼロに近い二人が日時の話しも早々に愚痴のぶつけ合いになっていた。
K代が仕事の都合で予定より遅くリモートに入って来た。「何!もう出来上がってるじゃん!ダル~あんたらのモードに追い付くの無理じゃん。」少し不満そうなK代にS未が「明日は休みだ、夜は長い~。」と笑う。
「K代、久しぶりだね。」と自分の存在もアピールした。「おう、雪影お久~頑張ってるの?」とテンションに追い付こうと缶ビールを飲みながら聞いて来た。「そう言えばさ~昔は雪影も尖っていたよね~。」とS未が割り込む。
だねって言いたげにK代が「やっぱ、こっちで仕事する気にならないの?」と言ってきた。
「東京の水と枕は、私に会わないよ。」と言うとS未が「枕って東京と関係ある?」と突っ込んでき来た。
リモート画面が笑いで一杯になった。
「真面目な話しすると、あの時の上司の言葉が影響しているかも。」少しの沈黙の後でK代が「だからこそ、こっちでやればと思うのだけどな~。」と不思議そうに言う。S未も頷いている。
その時の気持ちを文字にして画面に出してみした。
努力
無駄な努力をどれだけ続けても
無駄でしかないでしょうか
無駄なのは私が女だからでしょうか
無駄になる理由が女だからじゃなく
無駄だから努力をしない男に負けたくないから
無駄を努力する先の可能性を見せたいから
無駄が無駄で無くなる努力を続けているのです
画面の文字をみてK代が「雪影は強いね。」と言った。その言葉に思わず私は「その言葉を「月と詩人」のクロエさんにも言われた。」と口に出していた。「何、月と詩人って?」のK代の言葉に今度はS未が「雪影が最近ハマっているポエムサイトの事よ。」と代弁してくれた。「ポエム書いたとか言って、意味不明な文章を見せられた事が有ったわ~。」のK代の言葉に笑いが戻り、S未が「雪影が強いか~強そうに見えてるだけかも」と呟く様に言った。「有難うS未、解ってくれる人が傍に居るだけで心強いよ」の言葉にK代も頷きながら時計を見て「プレゼンの資料纏めが有るから、そろそろ落ちる。」と言ってリモートから抜けた。時計を見ると深夜1時を過ぎていた。この飲み会を物語にしたら面白いかもと思い「私も、このリモート飲み会を物語にしてサイトに公開したいから落ちる。」と言った。まだ心残りな顔をしているS未に手を振ってリモートを切った。
(終わり)
物語編で詩の情景がより深く感じられます(^^
前は一緒に過ごしていたけど、
友達は向こうで、自分はここで過ごしていく、
自分の中で線を引ける強さと少しの寂しさを感じました。