「ぼらと彼」 第三章
ある時猫が水槽の上にいるのを子供達が見つけて、あんな所に猫がいるといいながら集まってきた。猫はその声に驚いて水槽から転がるように飛び降りると物陰に隠れた。子供達はこんな所で猫何してたんだ?と言いながら水槽の中をみてびっくり顔になった。金魚とは違う変な私を見つけて、なんだ?これ!と大きな声をだして覗き込み手を水槽に入れたので、私は心臓が止まるかと思うほど驚いた。今度はこの子供達が私をすくい上げるのではないかと思ったからだ。そこへいつもの彼がやってきて、どうだ可愛いだろうと子供達に話かけた。へんな魚だね、普通の金魚なんかと違うじゃんと私をまるで村八分にでもしたような言い方をする。でも彼は優しくそんなことないよ、人にも黒人や白人や私達みたいな黄色人種もいるだろう、例えば女性とか男性とか、着る洋服だってその国によって色々な服を着ているだろう。髪にターバンをまいていたり、青い目の人や黒い目の人や、それにこの魚モデルさんみたいにかっこいいだろうという。肌の色も素敵だし。そりゃそうだけどと子供達は又皆で水槽の中を覗く。私は水槽の下の方でじっと息を殺して覗きこむ子供達を上目づかいにみていた。茶髪の子、丸坊主の子、坊ちゃん刈りの子、日焼けした顔が一斉に身を乗り出して私をじっとみている。最初にあのぎょろ目の猫ににらまれた時のようで心臓がバクバクした。
あまり魚を驚かしてはだめだよ、君たちだって突然驚かされたらびっくりするだろう。だからやさしくそっとのそくんだぞ。彼は口々にわいわい言いながら身を乗り出して私を見ている子供達にそういったので、子供達の顔がやっと水槽から離れた。それでも子供達は私を変なさかなだなあと言った。
この子はかわいいんだぞ、餌をもってきて覗くと僕の方によって来るんだ。え?魚がよってくるの?そうだよ、待っていたよって顔でね。嘘だろう、魚の顔が変わる事なんてないだろう?と子供達は不思議そうにいう。それがね。君たちがみんなに優しくしてもらえると、すぐお友達になれるだろう。お友達って何かにつけて一緒にいたり笑ったりするだろう。お友達がしょんぼりしていると気になって優しく声をかけたりするだろう。それと同じで、僕と魚もお友達だからね。優しく見守ってあげるんだよ。そうするとね、魚も僕の心がわかってくれるんだ。子供達はへえ~という顔で彼の話を聞いていたが、そのあともう一度私のいる水槽を覗くとわいわい言いながら帰っていった。そのあと彼は怖かったね、と言って私の好きな餌を水槽に投げてくれた。私は水面に顔をだし大きく息を吸うと水槽にばら撒かれた餌をぱくんと飲み込んだ。彼はいつもの優しい目でそんな私を暫らくみていたが、もう少し仕事しなきゃねというと又どこかへいってしまった。
「城下カレイ」聞いた事が有ります。ヒラメより高いんだ~。「城下カレイ」は煮つけでなくて刺身で頂くのかな?ヒラメより高価なカレイを食べてみたい気がするけれど、わたしゃ庶民なもんでヒラメを食べて我慢するわな。
UUXさんの物語の中のボラちゃんは推しなんで最高級に美化してます。ギンギラの色眼鏡をしているので度の調整は不可能ですわ~オホホホ・・・