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物語

公開·12 メンバー
雪影
Crystal of Comments
天空の雪Heavenly Snow

四角い月(4)


(本当の私)

参加すると心に決めた途端に男への恐怖心が薄れて、狼狽しながら

チラシを渡す姿が滑稽に思い出されて来た。

駄目駄目、油断してはいけない男が何を目的で近付いて来たのか、渡されたチラシが何故に私以外に見えないのか、解らない事が多すぎる。

チラシが付き纏って来たり信じられない出来事が続きすぎて感覚が麻痺している。男が何者か、目的は何かがハッキリするまでは油断禁物と

気を引き締める事にした。

月観測は、今週の土曜の夜7時に高台に有る公園と書かれていた。

その公園は、最寄りの駅から二つ離れた所に有る。歩いて行ける距離かと聞かれたら行けなくも無いが行く気にはならないと答える距離だった。晴れたら自転車で行こうかと思った時、雨が降っても観測イベントをやるんだろうかと不安に成ったが、雨なら行かないし文句を言ってきたら、月も見えない日に月観測をやろうと思うアナタとは付き合えませんと言うだけだ。

肝が据わると言うか居直ると、これから起きる事に対して冷静に考えられるし少し興味さえ湧いて来ているのに自分でも驚いた。

週刊予報では、土日の天気は崩れそうに無いみたいで普段の生活の中に月観測の記憶は薄れていった。

金曜日、母親にだけ土曜の夕食はゼミの友達と食事をするから要らないと告げた。

平穏な日々の中で月観測の時間が近付いて来たが、まさか男と食事をするなんて考えられないので少し早めの時間に家を出て公園近くの喫茶店で食事をしながら時間を潰す事にした。

月観測の予定時間を少し過ぎたくらいで公園へと向かった。誰も居ない公園広場に男が一人で待って居る事を想像しながら指定場所へと行ってみると、予想に反してガヤガヤと騒めきが微かに聞こえて来た。

遠目から様子を窺うと男を中心として数人の人が話しをしていた。

思っていた光景との違いと人見知りの性格が足を竦ませた。

どうしよう!男と二人の会話を想像していたので恐怖に近い感情が湧き上がって来た。

もう少し近くへ行ってみよう。どんな話しをしているのかを確かめて

自分が場違いな人間だと解ったら帰ろう。

少し自分に言い聞かせる様に集まっている人へと足を進めた。

男の背中側、男の後ろの方から公園を散歩する感じで近付いてみた。

「今夜は、カグヤ系列が参加するらしいな」「らしいなカグヤも何代目になる?」「カグヤに関わらずどの系列も代が進むにつれて血が薄れていくよな」

家具や?何代目?企業系列のグループ集会?月観測と何の関係?

「なんだ~来てたのか!来てたなら声を掛けてくれれば良いのに!」

しまった~!会話を聞くのに夢中になり過ぎて、男が振り向いた事に

気が付かなかった。

「今、声を掛けようかと思っていたところ。結構、人が集まったんですね。これなら私が居なくても大丈夫みたいだから少し月を観たら帰りますね。」

矢継ぎ早に自分の言いたい事を言って、この場を去ろうとしたが男の言葉がそうさせてくれなかった。

「何を言ってるんですか、今夜は カグヤ 貴女に会いに来てる人も居るんですから」

男の言葉に周りの騒めきと目線が私へと集中した。

何、何、何なのよ~この男と関わると…軽いパニック状態で頭が真っ白になってしまった。

「悪い、帰られると思って言葉が出てしまった。」「皆、申し訳ないが各自で予定通り月の観測を始めててくれるかな。」

そう言って男は、少し離れたベンチへ誘導して座る様に言ってきた。

「ゴメン、帰らないで少し僕の話しを聞いて欲しいんだ、何か飲み物でも買って来ようか?」

男の言葉に首を横に振って飲み物は要らない事を示した。

「少しずつ話しをするから聞いてくれるかな」と言って男は抑え目の声で話し始めた。

男の話しは、こうだった。ここに集まってる人は、私と同じくチラシが見える人で、月読の血を引く人らしい。

そして私は、かぐや姫の系列で月に関りが深いらしく、月の意志を受け安いらしい。

おそらく、母親が月読の血を引いていてるのではないかと言われた。

かぐや姫の血を引く者は、月読との接触を嫌い避ける傾向が有り会う事が出来ずに二百年以上の時が過ぎたそうだ。

月読、神話の月の神、神話・おとぎ話のかぐや姫を持ち出して何をしようとしているの?何をさせようとしているの?

突然、全ての事柄が納得いく答えが頭に閃いた!「ねえ、どこの劇団員さん?新手のスカウトなのね!」

「悪いけれど、私は芸能界とか興味無いし、俳優とか夢見た事など一度もないわ」「と言う事なので帰らせて貰います。」

チラシが私にしか見えない様にするトリックは気になるけれど、劇団員を使って、えっ!まさかドライバーさんとか

大学での女性とかもエキストラ…結構大きな劇団なんだと冷静さを取り戻しつつある頭で考えながら帰ろうとした時、

男が聞いた事の無い言葉、日本語で無い事は確かな言葉で話しかけて来た。

でも意味は解る。月の本当の姿を知る必要が貴女には有るんです。と言っているのが解る。

わたわたわた私って本当の私って何者?

ムー
ピー吉
YUMENOKENZI
すぅ
すぅ
03 sie

雪影さん、こんばんは。

最新話を読ませてもらいました。


月観測で明かされる謎の男から

明かされる衝撃的な真実驚きました。


主人公はかぐや姫の系列でなおかつ月読の血を引くものである。かぐや姫の系列は月読の一族を避ける傾向にあり数百年ぶりの出会いで、月読の血を引く人々が彼女に注目したのは謎の男の執着はそれが理由と言う理解で良いですかね?


今回で謎が回収されてきて、これから主人公が自分の血をどのように受け入れて彼らと関わっていくのか、興味深く思いました。違和感のない伏線回収が素晴らしいですね。


続きを楽しみに待っています。

Polub

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