マナとソウロ・作業所篇
作業所の昼食時、マナは泣いている。
マナ うつむいて涙を拭いている。ご飯には箸を付けていない。
ソウロ 「マナは泣いてるそ」
マナ 「・・ぐすっ・・あのね、あのね・・」
ソウロ 「悲しいから、泣いてるそ」
マナ 「うん」
ソウロ 「古着屋にはハンケチあるそ」
マナ 「ソウロが買ってくれるの」
ソウロ 「倉庫に、ただの、あるそ」
マナ 「・・行く」
古着屋の倉庫で
ソウロ 「悲しいは、しあわせないそ」
マナ 「お母さんのことを思い出したら、急に悲しくなっちゃったの」
ソウロ 「うーん」
マナ 「作業所をね、お母さんのいるアパートの近くに変えるって聞いたの。お母さん、私の様子を見に来るけどすぐ帰っちゃう。私には冷たいんだ。家庭環境が良くないんだよね、小さい時から」
ソウロ 「ケンカしたそ」
マナ 「フラッシュバックしたら、涙が止まらなくなっちゃった」
ソウロ 「ウオーターカリピシ。ジハソキで買ったそ」
マナ 「ソウロは飲まないの、いっしょに飲もうよ」
ソウロ 「しあわせカリピシ。ラベルに書いそる」
マナは涙でくしゃくしゃになった顔をティッシュで拭いて、
マナ 「カリピシ、おいしいよね。あれ、ソウロ。ラベルにしあわせになれる、って書いてあるじゃん」
ソウロ 「シロシ、しあわせそ」
マナ 「ほんとにしあわせになれるかなあ・・。あのさ、自分が自分の味方になっていいんだよね」
ソウロ 「マナの味方はマナそ。マナがマナを大事にするそ」
マナ 「私ね、アイドル推しが楽しいんだ」
ソウロ 「サンシャインそ。」
マナ 「今日のライブ、やっぱり行こうか」
ソウロ 「涙のフクロいっぱいになったらそ。泣いて出すそ。」
マナ 「うん、泣いたらすっきりしちゃった。今日は推しの子のライブに行ってくる」
ソウロ 「そうそ」
マナ 「友達にも教えてあげよ。カリピシ飲むとしあわせになれるよって」
笑顔になったマナは、昼ご飯を残したまま帰って行く。
読んでいて心が熱くなりました。幸せって何でしょうね。きっと自販機に売っている飲料の様に身近に有っても気が付かない物なのかも知れませんね。