チッチーとヒャンリ (つづき)
ヒャンリは「すずしさ」。
すずしく爽やかな風を造ったり、カチンコチンに凍ってしまうほどの寒さを造ったりする。
最近の過酷な暑さにくらくらが増してきた。これは限界だ。きっとみんなが限界だと感じているはず。
ヒャンリは慌てて涼しい風を発生させたり、湿気を集めて雨を降らせようとあせくせ。
でも、もはやこの暑さにはかなわない。
一瞬の風は、気持ち良さになるが、冷たい湿気は熱と混ざり思わぬ大暴走。凄まじい風が吹き荒れ、どんどん、どんどん雨が強まってきた。さらに所々で雷もとどろいている。
「あああ、しまった。こんなことになっては、チッチーの暑さにも惑星にも申し訳ない」
と、しょんぼり。
なんとかしようと思うけれど、くらくらした頭では、よい解決策が思いつかない。
「すずしさ」は落ち込むとどんどん冷たくなる。
冷たく、冷たく、冷たくなって、消滅してしまう。
チッチーは、役目で暑さを造りはじめたけれど、こんなに懸命に暑くするのは、落ち込みがちのヒャンリが消滅しないようにするため。
だから、ヒャンリの落ち込み冷気に敏感だ。さっきまで姿が見えなかったのに、いつの間にか近くにやってきて
「ヒャンリ、ちょっと暑すぎた?ごめん、ごめん」
と言って、暑さをいっぱいためた体でヒャンリを抱きしめる。
そして、暴風雨吹き荒れる地域の暑さをパタパタと散らしていく。
ヒャンリの体温が少しあたたかくなってきた。
ゆっくりと穏やかになっていく惑星の雨風。
「ヒャンリ、あそこにすずしさを造ってよ。すずしい風をおくって、ちょっとホッとさせてあげよう」
といって、雨風が特に激しかった地域を指さす。
「うん、そうだね」
ヒャンリがその辺りを中心に、そよーっと涼しい風をおくる。
荒れた天気がおきてしまったが、涼しく気持ちのよい風が長くそよいだ。
(つづく)
理屈抜きで良い物語だと思いました。
地球の寒気と暖気も、この二人の様にお互いを思いやってくれればと思いました。
地球では、人間が地球を思いやるのが先かな^^;
チッチーとヒャンリが役目で行動してる結果が自分達が思ってるのと違って悪い形で現れた事に対して、アタフタしてる様子が可愛くて楽しく読めました。
最後は、私の心にも涼しくて気持ち良い風が吹いた様で良い物語だと思いました。
続きを楽しみにしてます。