【虚実の境界】 〜はじまり〜
※注意書き※
本作は実際の人物団体とは一切関係ありません。同時に内容が重い、ホラー要素、学校に関する病む要素が含まれているので、大変恐縮ではございますが予めご了承いただいたうえで読まれることを個人的におすすめします。
心の準備は整いましたでしょうか?
苦手な方は読まずに戻ってください。
大丈夫ですね?……承知しました。
それでは【虚実の境界】始まりです。
広い教室の中、私は今日も一人で過ごす。座席は前から一番目、左の列の廊下側。今は放課後で窓から差した赤い夕日の光で教室の中が鮮血のような色で染まった。どこからか烏の鳴き声と17時を知らせる鐘の音が学校中に耳鳴りみたいに響いた。
私は夕日の赤に照らされながら疲れた身体と頭でボーっとしていた。最近調子が可笑しい気がする。意識がはっきりしないし疲れやすい。学校に来てから帰るまでに今日私は一体何をして過ごしたんだったかな?どうにか思い出そうとするけど、頭にモヤがかかったみたいで思い出せない。
それに可笑しいよね声が聞こえる。
どこからか視線を感じる。今は放課後でみんな家に帰って私一人しか居ないはずなのに視線がいくつも背中にささる。耳元で嫌な笑い声が聞こえる。
さっきまで誰の気配もなかったのに。
悪口言われたりするのは毎日のことで感覚が完全に前とは違った。頭は常に寝起きのようで同時に神経過敏だった。動物的な本能からか全ての音に怯えて身体を硬直させた状態で綺麗に固まる。あまり頭が回らないとはいえ、流石に状況が不気味だしこのままは怖すぎるので取り敢えず意を決して振り返ると何故か暗い部屋。
あれ?えっ?私は放課後の教室で自席に座っていたはずなのにここはどこ?訳の分からない状況に耳元で心臓の音がドクドクと鳴り、喉は詰まり呼吸が苦しい。まずい。このままだと過呼吸でパニックになる。まだ落ち着いている内に状況把握しないと。
取り敢えず荒い息を抑えてゆっくりと後ろを振り返ると監視カメラのある部屋だということが分かった。そしてスピーカーもいくつかある。私の母校は公立の学校だよね。こんな部屋あったかな。それから、おかしなことは他にも2つ。
監視カメラの映像をみるモニター
沢山並んでいるの知ってる?
そのモニターを見たの。
ヒュッと自分の喉が鳴る音を聞いた。
……目の前には人の目があった。それもモニターの数だけあった。更に……
全部私の方を見て監視していた。
ッ……!!??
あまりの出来事に身体が一瞬凍りつく。直ぐ側にあるスピーカーから沢山の人の声が聞こえる。全部私のこと言ってるらしい。これ以上は聞きたくない。頭がおかしくなりそう。耳を塞いでどうにか耐えるけど、目玉に見られ続けるのも怖かった。
凍りついた身体をどうにか動かして
目が合わないよう視線を逸らしながら
操作しようと電子版に向かう。
……っ!?声にならない声が出た。
見たことない言語で動かせない。
あまりの出来事にどうにか耐えていた心臓が早鐘のように打ち更に喉が酷く締まる。うまく息を吸えなくなった私はパニックを起こして目を閉じ声にならない声を叫んだ。
私は教室に戻っていた。授業中居眠りして悪夢を見たらしい。突然立上がり叫んだ私に皆驚いた。私は恥ずかしくなって謝り座った。夢でよかったと胸をなでおろしどうにか呼吸と心臓を落ち着かせる。危機的状況に陥ったからか頭のモヤが消え疑問が浮かぶ。
私何で教室にいるの?だって私は社会人……社会人の私がなんで学校に?……クラスメイトと先生が同時にニヤリと笑った気がした。
今は一体いつなんだっけ?
私は何に囚われているんだろう。
何かに気づきかけ背筋に寒気が走ったあと記憶が遠のき全てを忘れた。
あれ?何があったんだっけ?
目が覚めると朝日が教室に差していた。朝……?何で朝?時間がおかしいような?教室の時計を見れば朝礼前の学校の教室だった。一体全体何がどうなっている?頭が働かない。記憶にもやがかかったようで何も思い出せない。何かあったはずなんだけど何だっけ?
取り敢えず私は一旦忘れていつも通りの学生生活を過ごすことにした。今日は転校生が来る日らしい。先生が後で紹介すると朝礼で話していた。今の時期に転校生とか大分珍しいと思った。
そうして私は彼と出会う。
多感な時期にある少女の不安、恐怖感を物語タッチで描いたところに、作者の非常に冷静な息遣いを感じます。 過去の自分と現在の自分との間を行き来する中で、少しずつ本当の自分を取り戻そうとする主人公の少女が、これからどうなっていくのか、どうやっていくのか、新しい登場人物との出会いも加味され .... 続きがとても楽しみです!