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物語

公開·12 メンバー

雪影

Crystal of Comments

天空の雪

Heavenly Snow

四角い月(3)


(付き纏うチラシ)

少し気怠さが残る目覚めだったけれど無事に、日曜の朝を迎える事が出来た。

仕事は暫くの間は止めて、ゼミの課題レポートを進めるのと推しの作家が最近出した新刊を読もうと心に決め朝食の後で図書館と書店へと出掛ける事にした。

専門的な事を調べたいので町の中心に有る大き目の図書館へ、書店も大きい方が思い掛けない本との出会いが有るかもと電車で向かう事にした。

日曜だからか、思ったより電車は空いており座る事が出来た。

電車の中では、スマホの電源を切るという生真面目な所が有る私は、電車の吊り広告や電鉄の案内などを何気なく目で追っていた。

え!嘘でしょ~何故こんな所に…有り得ない現実に心の動揺が恐怖へと変わり、喉まで来ている悲鳴を抑え込みながら、

もう一度、電車の吊り広告をガン見した。

間違いなく有る。丸めて捨てた月観測へのチラシが吊られている。

一時も座って居られなくて車両を移り目的の駅に着くなり下車した。

止めてよ!白昼夢での悪夢?誰かの悪戯だとしたら絶対に許せない!

自分を正常だと思わせる自己防衛の思考を悉く心が否定ゆく。

書店に有る喫茶コーナーでコーヒーを飲み心を落ち着かせてから本を物色する事にした。

推しの作家の本や書店が進める本を流し読みしていると、少し心が落ち着き予定していた推し作家の本と話題に成っている新刊を買い図書館へと向かった。

図書館での資料は予定分を集められたが、思ったより纏める作業が捗らなくて諦めて帰宅する事にした。

帰りの電車では何事も無く家に帰る事が出来た。

無意識に考えようとしていなかった事、昨日に捨てたチラシが戻って来ていないかと言う不安を消すための行動。

帰宅しての母親からの「お帰り」の声にも応えずに部屋へと向かって行った。

ゴミ箱の中は、空だった。

ホット胸を撫で下ろしながらも不安が完全に消えたわけで無く、台所に立つ母親に「ただいま」と言って安心感を母親に求めていた。

資料の整理と買ってきた本を切りが良い所まで読み寝る事にした。

月曜のキャンパスは、少し賑わっていた。友達やサークル仲間でワイワイしてる中を通り抜けて掲示板が有る中庭へと向かった。

今週の休講と講義時間等の変更を確認する為に掲示板へと目を向けた。

今週は、休講も無く時間変更も無さそうだ。見落としが無いか再度、確認をしようと掲示板に目を向けた時だった。

ハイハイ、誰?もう驚かないわよ!2度も同じ悪戯をされても驚かないし

怖がらないわよ!

月観測のチラシを冷静に見ながら心で呟いた。

隣に居た女性に講義と関係無い掲示がされてないかと尋ねてみた。

予想通り、女性は普通に「されてないけどサークルとかの掲示ならコミュニティ・ルームじゃないかな」と教えてくれた。

「あっ、そうか、そうだよね~有難う。」女性に礼を言って、どうしたものかと思案に暮れた。

昼休憩にいつもの様に学食を一人で食べながらチラシの事を考えていた。

名案とは言えないが、一つの考えが浮かんだ!

考えを実行すべくチラシが現れそうな所、そうだ~さっき言われたコミュニティ・ルームへ行ってみる事にした。

案の定、そこに張られていた。チラシに向かって心の中で「参加します。今週の土曜日の…ですね。時間も場所も記憶したので現れなくて大丈夫です。」と呟いた。

これで駄目ならどうしようと考えながら、どこかでチラシが現れるのを期待していたが拍子抜けする位にチラシは現れなくなった。

ピー吉
ピー吉
25 juil. 2024

「NO!」と言うと現われ、「OK!」と言うと現われなくなるチラシ。

天邪鬼ですねえ・・

いやいや、待て待て。天邪鬼と思わせておいてそうでない展開をするのかも知れない・・

という読者の裏をついて、実は・・

「裏ドラの暗刻(アンコ)」みたいな怪物が目覚めの時を待っているような・・


謎の男は何物か?そして「四角い月」の正体は・・。


雪影氏のペンが冴える次回作に期待!



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