虚実の境界 〜転校生〜
※注意書き※
本作は実際の人物団体とは一切関係ありません。同時に内容が重い、ホラー要素、学校に関する病む要素が含まれているので、大変恐縮ではございますが予めご了承いただいたうえで読まれることを個人的におすすめします。
心の準備は整いましたでしょうか?
苦手な方は読まずに戻ってください。
大丈夫ですね?……承知しました。
それでは【虚実の境界】〜転校生〜
始まりです。
その転校生は先生の後に続いて入ってきた。どこか気だるそうな感じで初日だというのに着崩した制服で入ってきた。私は回らない頭でボーっと眺めた。髪は焦げ茶のストレート、長い前髪を後頭部にヘアピンで留めて眼鏡をかけていた。
私の第一印象は一言で言うと自由人?
縛られることはなさそうな人だなと。
一瞬彼と目があった気がしたけど
条件反射的に目線を手元の本に逸らした。
「じゃあ、転校生を紹介するぞ。彼の名前は斎藤勇輝(さいとうゆうき)。最近神奈川からこちらに引っ越してきたばかりだそうだ。分からないことが多いだろうから色々教えてやってくれ。早速で悪いんだが軽い自己紹介してもらえるか?」
先生が軽く彼のことを説明したあと、
自己紹介するよう指示を出した。
……先生があんなに長く喋るの初めて聞いたような……?
って、私は何考えてるんだろう。そんなはずないよね。私毎日授業聞いてるはずだし。変な疑問を頭から追い払った。
彼は気だるそうに返事すると
「俺の名前は斎藤勇輝(さいとうゆうき)。この学校のこともこの辺のことも、よく分からねぇから教えて貰えるとすげぇ助かる。これから宜しく。」
ざっくり挨拶したあと後ろに下がった。
「斎藤、自己紹介ありがとう。
じゃあ席はどこでも好きなところに追加でかまわないんだが……」
「あっ、それなら……俺は黒髪ロングヘアの眼鏡かけたあの子の後ろの席が良いです。」
私は何となく彼はどこの席に座るのかなと思い顔を上げるとこちらを指差していた?
ん?見間違え……見間違えじゃない!!何で??衝撃で目を見開いて固まっていると。
「あぁ、いいぞ。じゃあ、そこに机と椅子運んで座ってくれ。荷物の置き場所とか色々彼女に聞いてくれ。」
「はい。」
彼は私の後ろに机と椅子を置き座ると固まってる私に後ろから話しかけてきた。
「おい、あんた大丈夫か?どう見ても様子がおかしいから気になってよ、後ろの席に座らせて貰ったんだが、取り敢えず荷物の置き場所とあんたの名前教えてくれねぇか?」
ビクリと肩を震わせて振り返ると、
そこには心配そうに眉を寄せた
優しい円らな瞳の男がこちらを見ていた。
返事をする前に私が感じたこと。
……ギャップが凄い。
思わぬ優しい言葉にうっかり涙目になった
私は気合いで引っ込め怖ず怖ずと答えた。
「あっ、ありがとう。私いつもこんな感じだから気にしないで……。リュックの置き場所は机の横のフックで大丈夫。貴重品は後ろの鍵付きのロッカーに保管するのがおすすめだよ。荷物が多い時はその上に整理して置けば大丈夫。あと、私の名前は夢野雫(ゆめのしずく)。よろしくね。」
私が答えると、さらに彼は眉間をもみながら息を吐きながら返事を返した。あれ、私今おかしなこと言っちゃったかな?
「夢野さんねよろしく。いつもこんな感じって……おいおいマジかよ。幽霊でもみたような青ざめた顔が【いつも】は流石にマズいだろ。あんまり無理すんなよ。あと、荷物の置き場所教えてくれてサンキュ。」
その言葉を聞いて驚いた私は思わず反射的に聞き返した。
「どういたしまして。えっ?あの……私の顔色って今そんな感じなの?」
そんなに顔色悪いなんて全然気づかなかった。
……そう言えば鏡を最後に見たのっていつだっけ?
そんなことをぼんやりと考えていたら、私の問いかけに彼は私の方を見ると神妙に頷いたあと、何かを思いついたかのように口を開く。
「あぁ、そんな風に見えるな。だから気になって声かけたんだ。なぁ、夢野さんに提案なんだがこの学校について色々教えて貰う代わりに、俺があんたの話を聞いたり今の状態から抜け出す方法一緒に考えるのはどうだ?」
その提案に私は慌てて返答して
「いや、初めてあったばかりの人にそこまでして貰うのは流石に悪いよ。」と答えれば、
彼は予測していたらしく頭をかき混ぜながら私に
「交換条件だし、これは俺が放って置けなくて勝手に提案してることだから、悪いなんて思わなくていい。何なら今はまだ話せないが、訳アリでな。これは俺自身のためでもある。釣り合ってないように思えるかもしれないが、実際そんなことはない。俺を助けると思って条件飲んでもらえないか?」
と言って私の方を見て聞いてくる。
そういう彼はどこか悲しげな眼差しで
ここではない何処かを一瞬見ていたような気がした。
そんな彼の様子を見て私は
「わ、分かりました。そういうことなら、その条件飲ませてもらいます。斎藤さんの力になれるというならなりたいので!」
と返事をしていた。
彼がどんな人かはまだ分からないけど私でも力になれるならなりたいから。
彼は私の方を見て笑いながら
「夢野さんありがとな。じゃあ、協力関係ってことで今日から宜しく。」
彼の笑みに私もぎこちない笑みを返して
「斎藤さん、改めまして宜しくお願いします。」と答えた。
こうして、私達の不思議な協力関係が生まれたのだった。
転校生、最高です。悪びれてて愛想が無くて~自分にだけ少し興味を示してくれてる。
高校時代に憧れてた先輩を重ねて読んでいました。うん~男の子から顔色が悪いって言われたら鏡・鏡を見ないと耐えれない!自分が、どんなふうに見られてるか確認出来ないなんて拷問でしかない!でも、彼と協力関係って最高のシュチュエイションです。それに、どこか悲しげな眼差しで、ここではない何処かを一瞬見ているなんて~斎藤勇輝の謎よりも魅力ばかりが心に入って来ます。
ハイ!解ってますホラーミステリーとしても楽しみながら読みます。斎藤さんに悪いけれど斎藤勇輝への推しの気持ちは私の方が上だと思います。
これからの斎藤勇輝君の活躍を楽しみにしてます。