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フォーラム記事
文雨 伽奈
Belle Etoile
2024年1月12日
In 詩
蝉のぬけがらのぼやきと
失恋した向日葵の嗚咽を詰め込んだ
カンカン帽を抱えて
おすまし顔の匿名青少年
陽炎にジリジリと燃やされていく
R指定に包まれたリビドー
小麦色の肌に滲みた痛み取り戻すため
武装蜂起せよ匿名青少年
資本主義に乗っ取って
無責任な憐れみの目を向ける
大人達へのささやかな攻撃です
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文雨 伽奈
Belle Etoile
2023年11月24日
In 詩
優しすぎる憂鬱は
未だ亡霊のように浮遊していて
地に足をつけたがらないようです。
そんな日もまた
詩文が飾ってくれるのでしょう。
それにしても
軒の玉水がきらりと光るのを見ると
寄せては返す波のように
感情がゆれて
今にもこの身が崩れていきそうな思いになります。
こうして雨の音を聞いていると
あの人と歩いたときのことを思い出す。
私の肩が濡れないように
傘に入れてくれたものです。
形見の古本と雨の匂い。
もう一度、あの笑顔を…
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文雨 伽奈
Belle Etoile
2023年11月14日
In 詩
太陽が舞い上がったり、落ちてきたり、
そんなものが一秒ごとに嘘になって
世界は息を忘れていく。
かく言う私も
肉体は公園のブランコをこぐ亡霊のようになってしまって、心だけが時を刻んでいる。
「私」とは形骸化した時計塔である。
蝶のはばたきが
この視界を切り裂いてくれたら
また違う私がいるかもしれないという期待さえ、運命に千切られていく…
無情な孤独も
愛せる私はいなかった。
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文雨 伽奈
Belle Etoile
2023年10月29日
In 詩
夕日を受けて
眩しく縁取られる
淡麗な横顔は
秋の空のごとく
やわらかい。
何が哀しくなったのか
純な女らしく首を傾けて
銀いろの涙を流していたのを
俺は気付いていたけれど
ただ、今は静かに
君のとなりで煙草をふかしていたかった…
夕影草は
風にゆられ
たおやかな吐息は
風の中に消ゆ…
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文雨 伽奈
Belle Etoile
2023年10月18日
In 詩
散文的な日々
鈍色の空さえも狭く
人々は私に憐憫を垂れる。
散文的な日々
指先から触れた空間
背後から私を突き落としたのは…
サブリミナル的に魅せる
美しい素振り
そして大胆かつ繊弱な目つきには
耽溺せざるを得ないのです。
儚く妖しい愛は
映写機で映し出され
美術館の絵画の中で踊り出した。
スクリーンは甘い眩めきに満ち
絵画の中では窒息しそうなほどにギラついている。
子供のように純粋な生意気さと
大人らしくふらりと躱す余裕を含む不敵な笑みが
混濁する意識を
駆け巡りかき回して
触れられないことへのもどかしさに
苛立ちだけが募る。
しかしそれは熱い引き金に変わり
全てが詩的なものに変わる。
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文雨 伽奈
Belle Etoile
2023年10月12日
In 詩
真夜中の都会は思ったよりも光がない。
拡がるばかりの希望的観測と
それに見合わないほどに力なく点滅する
蛍光灯みたいな命が
わらわら 蛆 蛆 みたいに
わらわら 蛆 蛆 蛆
ぽつり ぽつり ちか ちか
寂しい光を絶やすことも許されないなら
私が私じゃなくなる前に
脳が痺れちゃうほどの光で
いますぐ満たしてよ。
きっとみんな寂しいから
なんでもよかった、なんて。
この都会を這って
また、会いに来ていい?
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文雨 伽奈
その他
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