夜闇の満月
私の初恋
月の屋敷にただ一人
窓辺の欄干に腰掛けて
寂しげな瞳は下界を映す
滑らかな白く美しい肌は
内側から発光するかのよう
髪は黒く艷やか長く真っすぐ
瞳は黒曜石のように輝く
髪も瞳も濡れていた
雲でできた薄絹を腕に纏い
服は物語の乙姫のよう
その瞳で人を魅了し誘う
気高いのに寂しがり屋
大人だけど少女のよう
一人で輝くのは寂しくて
人の目だけでも視線で
奪おうとしたのだろうか
傍に寄らせないつれない月
母のように包み込むような
優しさもあるから不思議
白くたおやかな手は
雲を天女の羽衣のように
肩にかけて静かに羽織る
時折舞を舞いながら
空に浮かぶは雲の薄絹
両手に持つ扇から覗く顔
おっとりほほ笑む
その姿は美しい
舞い終わり息を吐く
指先は空に触れるかのよう
一片の蝶が舞い止まる
月は語り蝶は聞く
指先から蝶は舞い上がる
下界に降りたその蝶は
私の肩に静かに止まる
私はその時月を見た
天に浮かぶ私の初恋
すぅさんへ
その美しさに目も、心も、奪われてしまうほど美しい月に、" 私 " は、月の屋敷にひとりたたずむ天女の姿を見ているのでしょうか。長い黒髪、白いかんばせ ... この世のものでないような、神秘に包まれた女性の美を、丹念に描き伝えた表現は、本当に素晴らしいですね!
すぅさんの詩の主人公 "私 " が、美しい月に恋したのと同様に、実は私も、月に恋してるんですよ 笑 今もって、私の大切な恋人です ...!