とある操り人形の物語(2)
〜第1章 主様からの告白〜
操り人形の私は横に倒れた状態で
主様の声に耳を傾けた。
「お前に出会った時、街では人形劇が流行っていた。その中でも美しく踊る操り人形はまだ珍しかった。
だから、あの頃は沢山のお客様がお前と私に会いに来てくれたんだよ。
街を転々としていたのは同じ内容だと お客様が飽きてしまうから色んな場所で講演していたんだ。
だけど、今では似たような踊る操り人形は沢山いてお客様が見にきてくれなくなってしまったんだ。
私はこのままでは生きていけないから 操り師を辞めて働こうと思う。」
主様は悔しそうに泣きながら
続けてこう伝えます。
「だから私はもうお前とは一緒にいられない。生きるのにいっぱいで大切に扱えないから。
お前は操り人形で新しい操り師の元で 幸せになるんだよ。
私は明日お前を人形店に売るつもりだ。」
そう言って涙をぬぐうと
主様はお部屋へと帰られました。
私はあまりの衝撃に
頭が真っ白になってしまいまし た。
主様が操り師ではなくなる?
明日さようならするの?
私はそれでもいいから
主様の元で生きていたいのに。
私は涙を流せないから
心の中で泣きました。
悲しみの中、世は明け
主様とお別れの日がやって来ました。
え~別れから始まるとは、思って無かったです。
人形にとって、操られずに放置される事の悲しさを主様は解っているんですね。
人形の悲しい気持ちも解るけれど主様の優しさも伝わって来て胸が熱くなりました。