四角い月10
(月城の正体)
「月読と呼ばれる人達は血を引き継いだ運命を喜んでいない、恨んでいる人さえ居るくらいなのだ。だから、月読の血を引く者は月読と関係ない人と結婚し少しでも血を薄めようとしているのが事実で、月読の血が薄れてゆく事を止められないのだ。」月城は自分に言い聞かせる様に言った。「それに何か問題が有るのですか?月読の血が薄れると月城さんに何か都合の悪い事が有るのですか?と言うか私は月読の血の事でなく月城さんの事が知りたいのです。」月読の血の話しに戻そうとする月城に苛立ちを感じて語気を荒げていた。
「すまない、月城家の事を話すのに月読の血は避けられない事なのでくどくなった。月城の人間は月読の血を引く者と結婚し月読の血を出来るだけ濃く引き継ぐことを習わしとしてきた家系なのだ。」話しが予想と違い過ぎるが黙って聞く事にした。「月読の血を濃く引き継いでいる月城の人間が月と繋がりが強く持てるとされ、代々月城の人間が月観測を仕切り月への忠誠心を伝える事と成っているのだ。」ぼんやりとだが月城憲治が月読の中でも重要な立場に有ると理解した。
「月城家の人間としてかぐや姫の血を引く私をどうしようと思っているの?」疑問を言葉にした瞬間、自分でも信じられない程にゾットする考えが浮かぶと同じく言葉として出ていた。「まさか、月読の血を引く私と結婚とか…無理・無理…月読の血とか関係ないし~」私の言葉に私以上に戸惑っている月城の後ろから、さっき優しく声を掛けてくれた女性の声がした。先程の月城と私のやり取りを見ていて心配してか、少し離れた所で様子を見て居てくれた様だ。
「ゴメンなさい、また脅かせているみたいですね。」「申し遅れました。私は月城憲治の妻の月城和子(つきしろかずこ)と言います。」と月城に代わる様に前に出て来た女性は、月城より少し背が低く痩せ型の女性だった。「もし良ければ、デリケートな事も有るし、女同士の方が話しやすい事も有ると思うから、私と話しましょうか?」と私に提案してきた。
「はい、お願いします。月城さんとは前から波長というか~合わなくて…ゴメンなさい御主人の事をゴメンなさい。」
良いのよと言わんばかりに月城和子は声に出して笑いながら「解る~言葉が足りないのよね。初めは私も空気が読めない男だなと思っていたもの」居心地が悪く成って来た月城憲治は、後は任せるといったジェスチャーをして場を離れた。
「雪影さん、私も下の名前で呼ぶのは駄目かな?」突然に聞かれて「いえ、恵子って呼んで貰って大丈夫です。」と答えた。「嬉しい、じゃあ私の事も和子と呼んでくれる。」と言われ「はい、和子さん宜しくです。」と硬さを残しながらも早速、本題に入る事にして貰った。「和子さん早速なのですが私は、かぐや姫の血を引いているらしいのですが月読の人達は私に何を期待しているのでしょうか?そして月城家の人は私に何をさせようとしているのですか?一番に知りたい事は母もかぐや姫の血を引いていて月と関りを強く持っていて何かしようとしているのでしょうか?母は私に何かさせようとしているのでしょうか?知れば知るほどに頭が混乱して不安で仕方がないのです。」と胸に渦巻いている気持ちを吐き出す様に話した。
「うんうん、じゃあ話すね。まず月読の人達は何も期待してないと言うか、自分達と同じ思いで月と関わって欲しいと願っている。」「自分達と同じ思い?」「そう地球を大事に思う気持ちで居て欲しいと」「それは大丈夫です。地球が月の様な星に成って欲しいなんて思っていません。」「そう、それは良かった。そして月城家の人間としては、かぐや姫の血を引く者と接触出来た事は凄く重要な事なの解って貰えるかな?」「それは、先ほどかぐや姫の血を引く者が月読を避けている事を聞いたので何となく理解できます。」「それも有るのだけど、月城家の人間としては、かぐや姫の行動を把握して地球にとって悪い影響を及ぼすならば説得して、私達と同じく月を欺きながら地球を守って欲しいと思っているの、だから恵子さんに何かをして貰おうとか思ってない。」「恵子さんも聞いた通り、かぐや姫は自分が行動するのでなくて人に影響を与えて目的を遂行する傾向が有るから真意を確かめるのが難しくて憲治も少し行き過ぎた言動や行動が有って誤解を招いているかもね。」話しが、かぐや姫の核心に触れたと感じて無意識に母親をかばう様に言葉が出ていた。「だとしたら、私の母が誰かに影響を与えて?無い・無いですよ~普通の主婦ですよ、パートはしているけれど地球に影響を与える様な仕事じゃないです。」と言う私に和子さんが「お父さんは何処で働いていて、どんな仕事をしているのか知っている?」と聞いて来た。確かに父の仕事はと聞かれると、父にも母にも詳しく仕事の事を聞いた事は無い、父は会社員で営業マンだと思っていた。かぐや姫の事もだけれど意外と家族の事を知らないで居る事が有る事に気が付いた。私の知らない家族の事、急に不安が大きく膨らむ様で和子さんの声も耳に入らなくなり静寂に落ちてゆく感覚に包まれた。現実へと引き戻してくれたのは、幼き頃に感じた母の温もりだった。気が付くと和子さんが優しく抱きしめてくれていた。そして私は和子さんの胸の中で、いつの間にか涙を流していた。
こんにちは。
まだまだ話は二転三転しそうな様相ですが、月読、「月城」の人たちの活動は月読の血を引く者や、かぐやの子孫に対してだけなのかな、物語には一般人に対する活動はほとんど書かれていませんね、月読の方々が公害を垂れ流す企業や、環境問題を利用して自分たちに有利な産業形態を作ろうとしている者たちへのアプローチなど出てくると面白いと思います、ただ話が広がり過ぎて終わらなくなりそうな懸念はありますが。
それから物語の中の雪影さんの恋愛話なども聴きたい気もします(笑)。