[前略]
中学生のときは 何度も告白された
初めは いつもOKと返事したし
別れは いつも俺から切り出した
そのつど 彼女は泣いた 俺は泣かなかった
何で、って聞くから 適当に返した
馬鹿だのサイテーだの言って 走って逃げた
どうせイケメンの彼氏ができたのーって
俺をアクセサリー扱いして自慢してたんだろ
だから俺も同じように、ただ物を捨てた
[中略]
そんな俺も高校生になった
チャリでの通いやすさだけにひかれて
自分の学力にあった底辺公立高校に入学した
教室というzooには一際目立つ女がいた
………スッゲェ綺麗 一目で心を奪われた
光沢を放つ黒髪ロング 垂れに垂れた瞳
血色のいい白い肌 ほどよく肉付きしてる体
身長は…俺よりだいぶ低い
彼女の名前は_____らしい。
読書が趣味のようで 時間さえあれば
小さくて薄い、活字ばかりの本を読んでいた
彼女と話すきっかけを作りたくて
彼女のことをもっと知りたいと思って
カップルとかなれたらいいな、と思い
俺も同じように 本を読み始めた
彼女はあらかわ…?いやちがう、えっとな…
わかんねぇけどその人の本をよく読んでいた
だから同じ本を書店で探して買って、読んだ
[中略]
________久しぶりに筆を取った。
随分と昔の話だがその後の話を
ここに綴っていこうと思う。
ミモザが咲くには、まだ早い時期だった。
私は高校一年生で初めて、彼女に告白した。
いつも受身だった私は勇気を振り絞って
揺れる夕焼けを背にして手を差し伸べた。
彼女はもはや別人だった。
彼女を取り巻く環境が変えてしまったのだ。
光沢を放つ金髪ショート 吊り上がった瞳
ガングロ肌 爪楊枝以上に細い体
厚底のせいで本来の身長はもうわからない。
本なんて塵芥は捨ててしまったそうだ。
たった一年の努力 一年も努力したのだ。
それが無駄になるのが怖くて 告白した。
あの頃の彼女が戻ってくることはない。
当時、私は美少年だった。
成績もモラルも、人並みにした。
国語が、得意になった。
当時、彼女もまた美少女だった。
成績もモラルも、かつては人並みにあった。
国語が、かつては得意だった。
散文詩を書きたかったのだがね、
これじゃただの随筆じゃァないか?
まぁ ちと大目に見てくれ給え。
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追記
公開後、一部訂正有り
松上さん、こんばんは。
彼女と肩を並べられるように頑張ってきたけど、彼女が変わってしまったことに
切なさを感じます。けれど、主人公は温かな人柄に変わったようで
それはそれで素敵なことなんじゃないかとも感じました。