ここは夢の国の都市ではありません
夢の国を移植しようとも叶いません
ビル群に圧倒され
形見のせまい思いをしている
あの小売店を見てみなさいな
外観だけはお城のよう
二つの尖塔が愉快な角度で
湾曲しアニメらしさをかもさんとしています
しかし飾られたプラスチックの旗は
なびいた形を保ったまま微動だにせず
二次元的なリアリティどころか
そもそも三次元に存在するのには
異様すぎるのです
夢の国のキャラクターグッズ犇めく店内は
夢の国内にある土産屋とは
似て非なる別物です
張りぼてで固められたそれは
オリジナルへの憧れさえ
亡失させてしまう効力さえもつでしょう
私は城の失墜を企てているのではなく
城に同情しているのです
ファンタジーの混沌
この都市でけなげに生きる以上
たとえ叶わないとわかっていても
夢を追いかける振りをしていなければ
立場が無いんです
みなみさんはじめまして。
城の失墜ではなく同情という言葉遣いが非常に面白く感じました。
夢であったはずのものが、夢とは似て非なるものとして現実に置かれてしまったことへの、反感のような、それでいて自分に向けている言葉にも見える、少しの自虐のような何かも感じさせる詩でした。そしてプリンセスの目線から書きながら、最後の無いんです。という言葉遣いに、作者自身の心を感じました。
往昔