オランダ坂を歩く足元に
コスモスの花が揺れる秋の午後
坂道のベンチに腰をおろした
白髪の老女
身振り手振りで話すその人が
にっこりほほえんだ横顔は
どこか母に似ていて思わず
声をかけてしまいそうになった
目の涙がこぼれない様に
秋の空を見上げればそこには
白い綿菓子のような雲が
流れていた
はじめて訪れたオランダ坂は
柔らかい秋の陽が石畳にそそぎ
2~3才になる少女が母親の陰から
にっこりほほえんでいた
ふと思い出すあのオランダ坂は
今もコスモスの花がきれいに
咲いているでしょうか
あの白髪の老女は
今、何をしているでしょうか
大声で「お母さん」と呼びたかった
あの優しそうな顔の人は
きっと、母と同じ名前だったかも
淡い追憶が母親とイメージが重なっていくところに温かみを感じました。