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フォーラム記事

きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2024年7月01日
In 詩
夏は夜 涼しげな空気の回廊を歩いていく 百個の風鈴がピンク色に染まって揺らめいている 猫が足元に擦り寄ってきて パロサントの香りが風に乗って流れてくる 宇宙人は私達のことで 本当は魔法は存在しているのかもしれない そんな空想が頭をよぎる 魔法を忘れてしまった指先をじっと見る 何かの力があったのなら 人を癒したり病気を治したり 悪いお化けを退治したり そんなことが出来たなら 指先から発する閃光は闇を打ち砕き 癒しのオーラを纏っている 紫の波動が流れて全てを包み込む 夏の夜 それぞれの想いが交錯する
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年8月26日
In 詩
生ぬるい水滴が顔に当たる スコールのせいでグロテスクに地面が陥没する 逃げるように 雨を避けて ヤモリがへばりついてる 軒下のアクアリウム 傘を忘れたから 家に帰れない コーラ味の飴玉を口に放り込む シュワシュワと溶けてなくなる 誰か忘れたから 家に帰れない 誰だっけ? ポツン そっと 確かめる なんとなく 存在する しばらくして スコールが止んで 虹の彼方へ 誰だか分からないけど 私という生き物 トクン 聞こえる それから 歩きだす スニーカーが滑るのを 確かめながら
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年8月23日
In 詩
草むらで月鈴子がリリリンと鳴くから 季節が移り変わっていくのを感じる 風鈴の音色とも少し似てしまうから 間違わないように風鈴は小箱に仕舞おう 静まり返った夜の向こうで あなたは何を思うのかしら その羽音を聞いて 窓を開けてみるのかしら リリリン 透き通るように遠くで リリリン 耳を澄まして ふと思い立ってドアを開けて 暗闇を手探りで歩いた 全ての形が何かを暗示していて 世界は万華鏡みたいだった 降り注ぐ空気が 少し冷たくなって 鋭敏な感覚が 少しずつ戻って リリリン 月鈴子の羽音が リリリン 涼風を運んでくれたのか 瞬きをする気持ち良さとか 誰かと話すのが楽しかったこととか 思い出してクスッと笑った
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年8月20日
In 詩
指先を太陽に翳して 陽の光の中を着物の着崩れを直しながら歩く 隣町まで足を棒にして歩いてみたら 少しはこの気持ちが楽になるだろうか 茶色い茅葺き屋根の家を過ぎて 長屋を横目に見て 空き地を過ぎた辺りで 下駄の鼻緒が緩んできたので心配になって家路に着いた 「平和になったら花見に行こう」 貴方はいつも口癖のように言って 私はこくんと頷いた ある日郵便ポストに 「行って参ります」 短い手紙が残されていた 花壇に水をやる 箒で掃除する 猫を撫でる 芋飴を食べる 空虚な時間を研ぎ澄ませて部屋を歩き回り 生きることしか出来ない四肢を畳の上に放り出す 空が茜色に染まる頃 途方に暮れていたら 電柱の根元に名も知らぬ花が咲いていた 指でチョンと突くとゆらゆらと揺れた 「かわいいね」と言うと 「そうでしょ」と返事をしたかのように 毎日郵便ポストを開けてみても 手紙は来ない そんなことを繰り返して また夜が来る 今宵は月も出ないそうだ
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年8月16日
In 詩
夜は電気を消しているから スマホの明かりだけが頼り 指先の動きだけが 生きていることを知らせてくれる こんなに小さい機械の中だけが わたしの世界で 波間に漂うクラゲみたいに ふよふよと浮かんでいる 浮かんで 沈んで 透明な遺伝子を撒き散らす ふふふと笑って ため息をひとつ 浮かんで 沈んで クラゲは夜の海を漂う たぶんそのうち 溶けてなくなる そんな生き物 ちっぽけな 透明のいれもの ふよふよ 漂って ただ流れていくだけ 気付かれもせず
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年7月22日
In 詩
アスファルトはジリジリと 日の光を反射して熱を伝えてくる 帽子や日傘がないと歩くのもしんどい 以前は夏の気温は32度くらいが最高だった気がするが 最近は37度くらいが最高気温になってきていて 四季折々とはいえ夏の暑さは尋常じゃない アスファルトが水分を含んだ何かで出来ていたら少しは涼しいのにとぼんやりした頭で考えながら たまらず入った喫茶店でアイスコーヒーを飲みながらため息をついた 窓の外を見ると入道雲がもくもくとしていて 夏真っ盛りな感じが伝わってくる アイスコーヒーの水滴がグラスに付いて ひんやりとして気持ちが良い ハンカチで額の汗を拭きながら 夕方まで此処で涼んでいようかなと ふと思った 幸いこの喫茶店には雑誌や本も置いてあるし、落ち着いたJAZZの BGMが一層居心地の良さを醸し出している 客層も老夫婦と大学生風の男性が一人 静かに同じ時を過ごしているだけだ 私は本棚から一冊のエッセイを取ってきて読み始めた 海に囲まれた異国の旅行エッセイで此処とは違う文化が楽しめる好奇心を掻き立てられる本だ 本を読みながら私は 鯨が何故潮を吹くのかなあと 調べれば分かりそうなことを ぼんやりと考えていた 今は調べれば大体のことは分かる でもその前に自分で考えることも大切だと思ったからだ アイスコーヒーはすぐに空になった 私はウェイトレスにおかわりを注文した 百円引きで得した気がした 知らないうちにうたた寝していたようだ 「鯨」と独り言を言っていたかもしれない 霞んで見える窓の外の雲の隙間に鯨が泳ぐのが見えた気がした
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年5月10日
In 詩
音韻を小瓶に入れて思い切り放り投げた 海岸線を歩けばカモメが嘘をつく 子供達は砂の城を崩している それを横目で見ながら 私はするりと通り過ぎる 亡骸を置いてけぼりにして 砂の粒はいつも手紙を落とす その事が私の胸を締め付ける コバルトブルー ブルーの意味は何? 逆さまの空 暗転 そして沈黙 壊れた石ころ 擦れる貝殻の音 点滅する灯台の明かり 海辺に浮遊する昼と夜 歩いても辿り着かない パラレルワールドの中で 音韻を小瓶に入れて思い切り放り投げた 花びらをそっと添えて
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年4月10日
In 詩
夜が流れていく 遠くシリウスが光る 秘めやかに秘めやかにと 願うままに生きれたなら どんなに幸せか 時折訪れる暗雲を払って 星々を見上げられるように おばあちゃん、おばあちゃんはどうしておばあちゃんになったの? 子供の質問は困る 歳を取ると皆んなおばあちゃんになるのよ と私は彼女に伝える そうなんだ!じゃあ、わたしは おばあちゃんみたいなおばあちゃんになりたいな! 心からの言葉とはこういうものかと 私は胸が震えた 本当の言葉を話していた頃が私にもあったはずだ シリウスよ、教えておくれ 私が私でいられる為に どうしたら良かったのかと 羽ばたいて 夢見させておくれよ 子供の頃の自分に言い聞かせてみる
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年4月02日
In 詩
ふと、さみしさが頬をつたう てんてんてんと落ちた水分は 地面に吸い込まれてまた蒸発する 天に帰れとそんな時私は思う にんげんもなくなってもまた生まれるのかな にんげんにはそんなことも分からない ただ、生きて生きて生きてそして死んでいくのが分かるだけ そんなのって何にも大事なことが分からないのと一緒だよ 私は叫び声を上げそうになる 悲しい時に悲しいって単純に書くと詩らしくみえないんだって! でも、悲しい時に悲しいって書いちゃうよね?だって、悲しいんだから 友達と音信不通になったり、亡くなったりすると本当に嫌な気持ちになる つーっとまたさみしさが頬をつたうから 私は悲しくなって そこらへんに置いてあったぬいぐるみを枕に向かって投げつける あーあ もう嫌だ 生きていくのはしんどい 残された者のか・な・し・み ため息しか出ない夜 これってワガママかな? ワガママかなあ? ねえ、君、分かるなら教えてよ あのね、音信不通の友達に伝えて欲しい 私はなんとか元気でいますって それで詩なんか書いてますって それから、それから 本当はあなたともっと話したかったですって
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年3月27日
In 詩
展示されたコーヒーカップは静かに時を過ごしている ガラスケースの中でコトリと音も立てずに毎日陳列されている 蔦の張った壁に覆われている洋館は美術館になっていて 昼間の屋外では暇を持て余した子供達が戯れている 訪れる観覧者達はコーヒーカップを見ながら価値が有るとか無いとか蘊蓄を垂れている 鎧や剣も飾られている展示室は時が止まったようにそのずっしりとした重厚感でその場の温度を冷たいものにし 宮廷の衣服の煌びやかなシルクの裾も過去の栄誉を見せつけている 「おいで」 「おいでもっと側に」 衣服の袖が観覧者達を誘う 社交会は真夜中に行われる 着飾った淑女は伯爵の手を取る 誰も居ない美術館で開催される亡き者達の宴 コーヒーカップはそれを見て笑う 人の世のなんと儚いものかと 踊れ 踊り続けよ そして 側においで
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年3月24日
In 詩
時を隔てて人は変わる 人が変わると街が変わる 街が変わると想いは募る 変わるのは人の心なのかそれとも街なのか 思い出は深く胸に刻まれ けれども風景は変わっていく 思い出してごらん 子供の頃を 遊び疲れて眠る布団の気持ち良さを ブランコを漕ぐ 滑り台を滑る ただそれだけで楽しかった日々を 街は変わってしまった 人は歳を重ねて 何思う 記憶があるのは素敵なこと けれど記憶に苦しめられる時もある 大人になるとはそういうこと 私は頭を空っぽにしたいと思う時がある 君もかい? 夜桜を見れど過去とは違う花 人の心は思い出なぞる
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年3月12日
In 詩
一雫 また一雫 雨粒は空から地上に降り注ぐ コンクリートを濡らし 土を濡らし ダンスを踊るようにリズミカルに雨が降る こんな日はカラフルな色の水玉の傘を差して街を歩きたい コンクリートの上を滑るように 土に咲いたチューリップに水滴が付くのを眺めながら ゆっくり ゆっくりと 幻想的な街を歩きたい こういう時には鳥や猫はどこに隠れているんだろう 軒下の巣の中かな 縁の下の奥の方かな そんな事を考えながら こういう時には人はきっと 一杯のカフェ・オ・レを手に持って その温かい湯気に幸せを感じているのかもしれない 親子が雨ガッパを着てキラキラした瞳をして街を見ている子供の手を引いて歩く人もいるかもしれない 一人で家で丸くなってすごく気持ち良く眠っている人もいるかもしれない 仕事から帰って来て 傘立てに傘を仕舞って 家に帰って来てホッとしている人もいるかもしれない 幸せは人それぞれ だからね 雨の日は割と憂鬱だけど 幸せを感じる そんな日にしたい 希望的観測だけどね でも…もしかしたら 雨の雫の一つ一つに 妖精が宿っているかもしれないのだ そう思うと 楽しいでしょ?
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
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2023年3月04日
In 詩
昔のこと 私は愉快な音楽隊の仲間と一緒に幸せな日々を送っていた 楽器は出来ないけどタンバリンなら鳴らせる そう思っていた 楽しく音楽を奏でているその時 タンバリンを落としてしまった 雑音がけたたましく鳴り響く それからというもの 私は除け者にされてしまった 私は一人になってしまった 全ては終わったのだ… 楽しい日々はなくなった 私は老婆のように背中を丸め 縮こまるしかなかった もう音楽隊の中に私の居場所はないのだから それでも月日は残酷に過ぎて行く 何処かに光があるのなら どうか私を照らして欲しい 希望という単純な言葉が今の私には皮肉にしか映らない 嗚咽を抑えながら 胸をかきむしる 無だ それでも誰かに側に居てもらえたら そんな淡い期待をしている自分がいる 汚い心だと嘲笑うかい?
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年9月15日
In 詩
遠くまで飛べたら そう思って空を目指した 雲をかき分けて 光の指す方へ たまに滑空したり 低空飛行しながら でも軌道修正しながら 飛び続ける 闇に堕ちないように ぐぎぎぎ がががが 軋む機械音 瞬きもせず 飛ぶ気持ち良さ 忘れないで 分かるはず 君にも そうだろう? 海を渡り 山を越えて 目指すは そう 天空の城 仲間が待ってる あの場所へ 微笑みながら集おう 待っているよと君が言うから 待っているんだねと僕も言う さあ 行こう ほら 一緒に
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年8月08日
In 詩
詩が書けないと筆を折る だがまた新しい筆が目の前に現れる 折っても折っても新しい筆が 書けと言うのか この私に 一体何を この世界は汚れている こんな世界では私の詩はゴミ屑にしかならない それが分かっていながら お前は私に詩を書けと言うのか 偏光フィルターから見える子供達 ボロボロの鞄の取っ手 月の見えない夜と昼 可哀想な蝙蝠の生贄 いくつもの殺戮と隠蔽を繰り返して 世界は作られた その事を暴けと 神様は私に言うのか 涙も出ない 崩れ落ちる身体は疲弊しきっている こんな姿で尚もまだ進めと言うのか 神様は残酷だ 私は祈る 私自身の神様に どうか守って ただ一つの安息の地を求めて
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年6月21日
In 詩
指先から伝わる熱さを迎え入れて 僅かなもどかしさの中に煌めく火照りと共に 瞬きを添えて揺らめく 言葉と切なさを連れて 孤独と喧騒のミラクル テンプテーション 夏の日差しを浴びて パラソルはキラキラと 日陰を探して 人々は歩いている 犬を連れた老人が海辺を散歩している 子供達が走り抜けていく テ・ン・プ・テ・ー・シ ・ ・ ン LOVE ョ ・         ・ プ・テ・ー・シ・ョ・ン 心を込めて あなたを誘惑して それから私も 溶けてしまいたい 太陽を味方につけて 焼ける肌を見せつけたい
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年5月25日
In 詩
あなたの事を想うと胸の辺りとそれから 言えない場所がウズウズするの 言えない場所って何処かって? それは秘密 だけど一つだけヒントをあげる それは心よりもっと深い場所 未知なる領域 マントラの奥の方 ほら、分かってきたでしょう? だって、ね あなたの事が愛おしくて仕方ないから 可愛くってぎゅってしたくなるの ただあなたが大切でいつも私を守ってくれるから だから私はいつかあなたに恩返しをしたいの 時折、外は晴れたり 雨が降ったり あなたに逢えない時間が私を綺麗にするわ だから、ねぇ 抱きしめてくれなくてもいいの ただあなたを想うだけで ほら こんなに熱くなる 鼓動 感じて 狂おしくなるくらい 光を放って 私ってダメね あなたの事を考えるだけで 気が触れそうになる だからお願い いつも側にいてね
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年5月15日
In 詩
初めての感覚はとても気持ち良くて それは晴れた朝の朝顔に付いている雫みたい 大切に扱ってと 水の妖精は言うの 分かったよって君は笑う 落ちない様に受け止めて その柔らかな心で 緩やかに流れる水の流れは止まる(とどまる)事を知らず いたいけな瞳は 大人になっても変わりはしない その心でいつも居てお願いと 妖精と口づけを交わすの
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年5月04日
In 詩
こんどどこにいこうか とおくへいきたい ばいくとばして のはらへいこう ちきゅういっしゅう からまわりしないように らくだよかんたん しんじつはひとつだから んーしんじられないって? じじつだものほんとうだよ てつがくしょにもかいてある
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きょこち 久遠恭子
ブログ記者
ブログ記者
2022年4月22日
In 詩
悲しいという気持ちは単純だ だが、悲しいという感情は複雑かもしれない 彷徨う都会のアリス 時計を探しているの? それともうさぎを見つけたいの? 答えは夜の狭間に そして朝の露にも 黄昏と朝焼けを連れて いつか旅立ちたい いや留まりたい 見つからない答え 虚空を超えて 今も昔も探している
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きょこち 久遠恭子

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アクアマリン
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